本はたくさんのことを知っている

 部屋の中、たくさんの本に囲まれた少女が一人。聞こえる音は、本のページをめくる音だけ。
 まるでとりつかれたように本を読んでいる少女は、周りが見えていないのか。外はすでに日が暮れており、部屋の中は薄暗くなっていた。
 やがて読み終わったのか、少女は本を閉じると窓を見る。そこでやっと暗くなったことに気づいた少女は、暗いとぽつり呟いた。
 そしてゆったりとした動作で部屋の電気をつけ、先程読み終えた本を本棚に入れる。少女の部屋にある本はどれも難しいものばかりで、年頃の少女が見るような本はほとんどない。
 床に散らばった本を少女が見る。次はどの本を読もうかと考えてるのだろう。
 暫くして、近くにあった机の上にある本を取る。そこには、丁寧な字で「荒神瑠璃」と書いてあり、教科書らしいことが伺える。
 少し読んでいたが、飽きたのかすぐに机の上に戻して再び床に散らばった本を見る。どうやら、教科書程度では彼女の知識欲を満たせなかったらしい。
 読みたい本を見つけた少女は、這って移動する。これまた難しそうな本を嬉しそうな表情で見る少女は、普段の冷めたものとは違い年頃のもので。本を読み始めた少女は、再びとりつかれたように本を読んだのだった。

 

   

 


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