移り気はほどほどに

 恋人が構ってくれない。そんな手持ち無沙汰を感じ、エドマンドは一人街を歩いている。
 人が多く、すれ違いざまに肩がぶつかる。謝ろうとして声をかけると、髪の長い綺麗な女性と目が合う。
 久しぶりにじっくりと女性を見た気がする。女性は、何も言わないエドマンドを不審に思ったのか、困ったような顔をする。
 その顔も愛らしい。しかし、今はそんな時間ではない。女性に微笑みかけ、エドマンドは声を出した。
「申し訳ありません、レディ。あまりの美しさに、つい見惚れてしまったのです」
 女性はその言葉に気をよくしたのか、お礼を言う。
「もしお時間があれば、一緒にお茶でも飲みませんか? もう少し、あなたと一緒に過ごしたいので」
 さり気なく女性の手を取る。彼女と一緒にいたいのは本当のことである。どうせ、今は恋人はいないのだ。その間だけでも、羽を伸ばしてもいいではないか。
 エドマンドの問いに頷いたのを確認し、エドマンドは少し外れにある喫茶店へと入る。特に行きつけというわけではないが、なんとなく、よく足を運ぶ場所だ。
 お茶を飲みながら、話しをする。どうやら、彼女は財団に勤めているらしい。それなら、どこかで会っているはずだ。しかし、これほど美しい女性を財団内で見たことがあっただろうか。もしかしたら、新人かもしれない。
 カップが空になってどれほどの時が経っただろうか。話しが弾んでしまい、つい時を忘れてしまった。外は、少し日が傾いているが、完全に落ちるには時間はかかるだろう。
「もしまだ時間があれば、もう少し一緒にいていいですか?」
 浮気は、ばれなければ問題ない。幼馴染たちが聞いたら何か言われそうだが、楽しいことができればエドマンドはそれでいいのだ。
「ねえ、俺の家に来ない?」
 このセリフを言えば、何かを察するだろう。意味を理解したのか女性は綺麗な顔に笑みを張り付けた。
「そうやって、いつも口説いてるの?」
 聞いたことがある声に、背筋がぞくりとする。まさか、ここで会うとは思わず、エドマンドは足を後ろに引いた。その行動を見逃さず、女性がエドマンドの手を強く握る。意外と力があるんだな、とどこか見当違いな考えが頭をよぎった。
 そして、女性だった人は姿を変える。見慣れてる、恋人ニールの姿がそこにはあった。
「いや、あの、これは違うんだ。その、えっと、家で映画でも見ようと思って……」
 苦し紛れの言い訳だ。それは、エドマンドもわかっている。
 ニールは、とてもいい笑顔でエドマンドを見る。今日は、逃げられないだろう。
 他にも言い訳を言いながら、エドマンドとはニールと一緒に街中を歩くのだった。

 

  







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