プロローグ的な
『突然の手紙、ごめんなさい。
本当は直接言ったほうが良いんだけど、お手紙書かせていただきました。
あまりこういう回りくどいことは苦手なのでいい言葉が浮かばないのですが、単刀直入に言います。
あなたのことが好きです。
叶わないものだとは承知していますが、もし少しでも気持ちがあれば、4月〇日の放課後、体育館倉庫の裏に来てください。
増田 雄馬』
誰もいないことを確認して、雄馬は下駄箱に手紙を入れる。普段は手紙など書かないのだが、いつもと違うことをしたくて、男が買うには不釣り合いなかわいらしい便箋と封筒を買い、思いのたけを綴った。
もし来なかったらどうしようかと考える。しかし、それならそれで仕方ないことだ。いつものように、気持ちを切り替えればいいだけの話だ。
もう一度辺りを見回して、雄馬はその場から去る。はやくその日になってほしいと、願っていた。