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スコ育 -獅子奮闘記-
※パロディの『スコ育』の設定です。16歳スコール×24歳ティーダ


ふっと眩しさに目を開ければ、カーテンの隙間から朝日が差し込んでいた。
何時だろうと時計にてを伸ばせば、時刻は明け方だった。

今日は休息日だから時間がある。
まだ寝れるが……折角早く起きたんだから訓練施設に行くのもいいかもしれない。
ここ時間ならまだ人も少ないし、隣で寝てるやつを起こしてそうすることにしようか。

そんな風に考えて、俺はもぞりとベッドから起き上がった。
シーツが素肌を撫で、普段なら寝間着を着ているから味わうことのない感触に夕べのことを思い出す。

カッと体が熱くなるのを唇を噛むことで堪えた。
自分の隣を見れば、あどけない顔で眠るティーダがいる。

その事実に、俺は夢じゃないと自分とティーダの昨晩の淫らな行為を思い出す。
夕べはSeeD試験の為に任務に出ていたティーダが帰ってきたのだ。

そして深夜に俺の部屋にこっそりやって来た……その……俺の恋人は、『スコールにすげぇ会いたくて来ちゃったッス』なんて言った。

そんなことを恋人に、深夜に言われれば、我慢なんてできるわけない。
俺はティーダを引き寄せるとドアロックを掛けて逃げられなくすると、唇にかじりついた。
ティーダは最初はびくりとするが、微笑むと俺に応えてくれる。
その後はまあ、ベッドに押し倒して散々やった。
久々でもあったし、本当は毎日でも抱きたいと思ってる俺だから、ティーダには悪いが一回や二回で終われるはずもない。

……だから、訓練施設で手合わせしてほしいとか言えるわけないしさせられない。
体、辛いだろうななんて考えながら眠るティーダを見る。

ティーダはまるで子供のような顔で眠っていて、……実際にティーダは外見がとても若い。
歳は24で俺よりもだいぶ歳上だけど、外見でいうと17、8に見える。

だからガーデンの教師をやってるけどどこを行っても現役SeeDと間違われるらしい。
せめてこいつの中身だけでも年齢に見合っていればいいんだが……残念ながら中身も外見レベルでしかない。
Seedだった くせに甘いこと言ったり、敵方の事情も汲んだり同情したり。
そんなんでいいのかと思うが、ティーダは数々の各国間の問題をほぼ無血で解決した実績をもつSeedの英雄だ。

それは単純に言うなら交渉術というものなのだろうが、ティーダの場合は計算よりも天然というか……。
こいつは自分の思っていることを押し通すから誰にも真似できない。
Seedの第一期生として、Seed黎明期を支えたティーダの功績は数知れない。
今の世の中にSeedが浸透しているのは初期Seedたちのお陰だ。

そんな凄いやつが俺の恋人で、昨日は散々俺に抱かれて甘い声を上げていたというのだから世の中は分からない。
ティーダにしがみつかれ、甘い声で名前を呼ばれて、『もっと』と言われるだけで……。

「………はぁ……」

俺は思い出しすぎたことを頭を振って彼方へと追いやった。
朝っぱらから盛るな。

そう自分に言い聞かせて、ティーダを再び見た。
ティーダの寝顔見て、数年前まではこれに手が届くとは思ってなかったとしみじみと思う。
ティーダを好きだと思っていたのはそれこそ思い出せないくらい昔からだ。
あまり小さい頃のこと覚えてないが、ティーダの笑顔と俺の手を引いてくれる大きな手は覚えてる。
そんな大きな手はいつまでも大きいのだと思っていたけど、
13の誕生日に『スコールは大きくなったッスね』と蕩けるような笑顔で、言われてティーダの手のひらと俺の手のひらを合わせた。

その差が、僅か一センチしかなかったことに俺は衝撃を受けた。
包み込むように俺より大きかった手に、いつの間にか俺は追い付きつつあったのだ。
まだまだ成長する俺は、ここまま行けば手のひらだけじゃなく、身長だって越すだろう。
そう思ったら気づいてしまった。

ティーダが好きだと。
俺はティーダを親愛じゃなくて恋愛として好きなのだと。

そこからはひたすら苦しかった。
俺がその気持ちを自覚しただけじゃティーダは通じない。
けど、まだティーダから見れば体も技術もない俺は子供だろう。

だから俺は、体がせめてティーダを越えたらとして必死に……ティーダの子供扱いに耐えた。
ティーダと俺は古くからの知り合いだ。
普段はけじめとして教師と生徒として接しているが、二人きりやプライベートなときは肩書きを持たない状態で接してる。

そんな時のティーダまるで俺を小さな子供のように扱う。
頭を撫でて、『スコールはおっきくなったッスね』とか『格好よくなったッス。さすがスコールだな』とか。
過去の俺と今の俺を比較するような物言いをいつもする。
ティーダの目にはいつだって小さな姿の俺でもいるのだろう。
子供の成長を感慨深くというような様子が嫌いだった。

俺はティーダをただの兄と見るのは止めてしまったのに、ティーダにとったら俺は弟も同然で。

でも何もティーダを超えてない俺は気持ちも言えなかった。
ティーダの子供扱いに耐えて耐えて耐えて。

この前の16の誕生日にやっと思いを伝えた。
堪えきるのも苦しくて、それに真しやかに流れるティーダに恋人がいるのではという噂が真実になるのが怖くて。
俺はティーダよりもほんの僅か身長が大きくなったのを免罪符に、誕生日にティーダが欲しいと伝えた。

好きだから、欲しいと。

その時ティーダは俺にそんなことを言われるなんて思ってなかったんだろう。
俺の言葉を聞き返してきて、俺はもう我慢できずにティーダにキスした。

そもそもずっと我慢していたんだ。それがもう、堪えきれなくなったから告白したんだ。
とっくに限界は迎えてる。拒絶されたって知るもんか。
何がなんでも手に入れると、混乱した頭でティーダにキスして、抱き締めたんだ。

「ん……あ、スコール……?」
「起きたのか?」

ティーダは瞼を開けるとパチリパチリと瞬きをした。
ごそごそとシーツから手が伸びてきて、俺の腕をそっと掴んだ。

俺はつい最近の思い出を辿ることを止めてティーダを見た。
ティーダは眠そうな目をしながら俺の手に頬をすりつけると幸せそうに笑う。

そんなティーダに、俺は心臓の辺りがぎゅうと痛むのを感じた。
ぶるりと体も震えて、発散先いまいち分からない喜びに俺は静かに細く長く息を吐く。

……可愛い。

「スコールおはよーッス」
「……ああ。おはよう」

俺はティーダに顔を寄せると、ちゅっと軽くリップ音をさせて唇を吸った。
そうすればティーダは嬉しそうな顔で微笑む。
その微笑みはいつもの眩しい笑顔じゃない。

静かに、俺に幸せだという気持ちを伝えてくれる綺麗なものだ。
ティーダがこんな風に笑うことを知ったのはつい最近だ。

告白して、絶対に逃がさないとがむしゃらに抱き締めたら、そっと腕を背中に回された。
差し込んだ舌も噛まれることもなく、熱く絡められて……。

俺が
驚いて目を開けたら、ティーダは微笑んでいた。

その微笑みに俺は頭の中が真っ白になるとそのままティーダを求めた。
初めてだったし、ティーダを欲しすぎて滅茶苦茶だったけどティーダは逃げなかった。
逃げようと逃げられた筈なのに、ティーダは俺を受け入れて……好きだと言ってくれた。

「なぁ。もう一回してくれよ」

ティーダはそうねだると、今度は子供みたいに笑った。
俺は乞われるままにティーダに口づけを贈る。

「もう一回。これで最後にするからさ」

最後なんかじゃなくていい。
何回だって乞えばいい。
俺だって何回だってしたい。
いつまでもこうして……二人でしがらみなくいたい。

教師とか生徒とか、兄貴分とか弟分とかそんなの全部失せてしまえばいい。
俺はただのスコールで、お前はただのティーダで、俺達は愛し合ってる。
……それだけでいい。

「……ん……」

朝から服も着ないで裸のまま抱き締め会う。
合わせた唇から熱っぽいくぐもった声がもれ、俺がティーダにこんなふうに熱を生ませていると思うともっとという気持ちが止まらない。

もっと一緒にいたい。
もっと俺を見てほしい。
もっと俺を必要としてほしい。
もっともっともっと、俺だけでティーダの世界が埋ればいいのに。

「……はぁ……スコール……」
「……ティーダ……」

夢中で口づけを交わして、とんと背中を叩かれたのでほんの少しだけ距離を作る。
距離といっても抱き合ったまま、辛うじて唇が合わさっていない程度。
そんな焦点すら合わせにくい距離で見つめあう。

「超大好きッス」
「……そうか……」


満面の笑みでいうティーダが愛しい。
ティーダがくれる言葉は俺を簡単に幸せにする。

俺がどれだティーダが好きで、その言葉一つ一つに感情を揺さぶられているかなんてきっとティーダはわかってない。
無邪気に好きといって俺を抱き締める手。
これをどれほど手放したくないと思っているか……ティーダ知らない。
分かってない。


「さ!そろそろ起きるッス!」

ティーダはそう言うとベッドから起き上がった。
俺も体を起こして時計をもう一度確認する。

時間はまだ明け方。
皆寝静まっているだろう。

「まだ寝ていていいんじゃないか?疲れてるだろう?」

そう言えば、ティーダは『うーん……そうしたいけど……』なんて言いながらタオルと俺の部屋に置いている着替えを取り出している。
きっとシャワーを浴びるのだろう。
終わったあとに簡単に体を清めてやったが、ちゃんと汗とか流したいのだろう。

「今日、サイファーと手合わせの約束してんだよ」
「………は?」


なんて言った?
今日……サイファーとなんの約束しているって?

「手合わせ頼まれんのはいいんだけどさ、なんでこんな朝っぱらからがいいんだろうな。
サイファーいつも早朝がいいって言うんスよ。起きるの大変だってのに。あ、シャワー借りるな」


ティーダはそう言ってシャワー室に消えた。
俺はといえば、知らなかった事実を知らされて茫然する。

サイファーと手合わせ?
いつも早朝って……それって今までも何回も俺が知らないところで会っていたってことだよな。
こんな早朝からじゃ確実に二人きりじゃないか。

いやそれより、俺よりもサイファーのところに行くのか?
俺と二人きりよりもサイファーと二人きりになりたいのか?

さっきまでとても満たされた気持ちだったのに、あっという間に心が餓えた。
ティーダ足りない。
もっともっとティーダがほしい。

俺はベッドから立ち上がるとゆっくりとシャワー室に近づいた。
ティーダは知らない。

俺がどれだけティーダを手放したくないかを……分かってない。

俺はシャワー室のドアノブに手を掛けて笑う。
きっと驚くだろうな。もしかしたら少しは抵抗されるかもしれない。

「知るか。俺だけ見てればいい」

ぽつりとそう言って扉を開けた。

ティーダは知らない。
俺がどれだけティーダを誰にも渡したくないかを……分かってない。

驚いた顔のティーダが目にはいる。
濡れるのなんて気にもせず抱き締めて、キスをした。

今日はもう、どこにも行けなくしてやる。


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スコール気持ち悪い。(第一声)
えーっと、ススムさんリクエストの『16歳スコール視点のお話』でした。
思った以上にスコールが気持ち悪くなってびっくりしました。
でも見事にやおいですね。(やめてお尻痛い的な意味で)

このあと、約束破ったティーダは埋め合わせにサイファーと手合わせする回数が増えたとか、
スコールにとって本末転倒な結果になるんだと思います。

これでいいでしょうか、ススムさん……。
bkm
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