小説 | ナノ
スコ育3
※8の世界に10がきちゃう話。

『お姉ちゃん』と言いながら泣いているスコールの手をとって決意した。
俺はこの、スコールの世界で……アーロンになる。

俺がそう決めたのは、俺がスコールの世界に来てから2月ほど経ってからだった。
スコールが提案してくれたお陰かどうかはさっぱり分からないけど、小さいスコールと会った日に俺は『ママ先生』と『シド先生』と三人で話をした。
話をしたのは子供達が寝てからだったけど、みんな5、6歳児だから寝るのが早い。

9時くらいには皆寝ていて、俺はママ先生たちに自分の出自は隠してとりあえず、『行くところも帰る場所もない』ことだけを伝えた。
そしたら、あっさりと孤児院においてくれるって言うから驚いた。
まじで行く場所ないし、この子供の姿じゃ働けもしないからありがたかったけどさ。

「お姉ちゃん……」

今朝になって、スコールが『お姉ちゃん』と慕うエルオーネがいなくなった。
だからスコールは大泣きしてて、俺はどうすればいいのかなと思ったけど……泣くだけ泣かせることにした。

とりあえずスコールの頭を撫でてやれば、スコールはがしりと俺にしがみついてくる。
その反応を可愛いなと思う反面、こんな可愛いスコールがアルティミシアと戦うことになるだなと思うと俺も泣けてくる。

なにがどうなって、あんなむっすりした滅多に笑わないスコール君に育つのかは分かんないけど、
きっとこれから色々あるんだろうなと思うと憂鬱な気分になる。

中途半端に先を知ってるって嫌だな。
だって、スコールがでっかく成長したらアルティミシアと戦うんスよね?
そうなったらもう、泣いてるヒマなんてないだろうから、泣けるならいま泣いちゃったほうがいいに決まってる。
これからスコールには、来るアルティミシア戦のために立派なSeeDってやつになってもらわなきゃ困るんスよ。
だから、今だけは……そう思いながら俺は、夕べ『シド先生』に勧められた話を思い出してた。


なにやら、ここの孤児院経営者の『シド先生』はSeeDっていう傭兵を育成する『バラムガーデン』を設立したらしい。
その傭兵育成っていうのがこれから始まるって事で……俺もスコールも入学を勧められた。
ていうか、俺にいたっては是非ともって言う話だった。


『バラムガーデン』はまだ設立されたばっかだから傭兵なんて抱えてない。
だからなるべく早く、実績を上げる必要があるってことで才能のある子に早く傭兵として育ってほしいらしい。

つまり俺に傭兵になれって言っているんだ。

ええー……っと思わないこともない。
けど、孤児院はこれから閉鎖になるらしいから俺は行く場所ない。
孤児院にいる引き取り手のない子はひとまずバラムガーデンに入ることが決まっているらしい。
だから俺もスコールもバラムガーデンに入学ってわけだ。

ああ、嫌だな。
傭兵とか、そんなのになりたいわけじゃないし。

そう思うけどスコールは将来、伝説のSeeDって言うのになるんだからバラムガーデンに入学しなくちゃだもんな。
俺はどうするかなーとか考えなくもないけど、スコールを放っておくのは無理。
できないできない。

だから俺もこのままスコールと一緒にSeeDになります。
うん。そうする。

そんでもって、俺がスコールを立派なSeeDにするんだ。
いや……スコールは放っておいても立派なSeeDになるか。
じゃあ俺はスコールをちょっとでも笑顔の多い子供に育てるッス!!


うん。
そうする!!

見てろアーロン!
俺もあんたみたいに立派に子供を育ててみせる!!

いや、あんたに何かしてもらった覚えってあんまりないけど。
俺って生活に関してはほぼ一人で何とかしてたよな!?
あんたにしてもらったのって道徳的なことくらいじゃね?

まあ、とにかく……俺はスコールの笑顔を手に入れるッス!!




□□□□□□


「………ああ……なんでこんなんになっちゃったんスかね……」
「……いきなりなんだ」

むっすりとした顔で俺を覗き込んでくるスコールを見て、俺はまた『ヨヨヨ』と泣きたくなった。
スコールはますます不機嫌そうな顔をして俺を覗き込んでくる。


「……スコール。小さいときみたいに『おにいちゃん』って言って笑ってほしいッス」
「……なに馬鹿なこと言ってるんだ」

そう言って溜息をつくスコール可愛くない。
すっかり大きくなり、今年16歳となったスコール。
もう外見だけなら俺の良く知っていたスコールにそっくりだ。

ああ、感無量ってやつかな。
自分が大事に見守ってきた子がこんな立派に育つなんて……。

「おい。この状況がなんだか分かってるのか?」
「分かってるっスよ。16歳のスコール君が盛っちゃってる状況ッス。ああ……なんでこんなおっさんがいいんスか。
スコールはイケメンなんだから、女の子にしたらいいのに……」
「うるさい。俺が誰を抱きたがっても俺の勝手だろう」

スコールはそう言うと、俺に馬乗りになってシャツを脱がせ始めた。
ああ、もう。

「スコール。俺は今、任務から帰ってきたばっかで疲れれてるんスよ。
ていうか、もう16歳のヤりたい盛りの若人にはついていけないッス。」
「……まだ24だろう」
「もう24ッスよ」

スコールが16歳となった日。
誕生日プレゼントは何が欲しいと聞いたら、『ティーダが欲しい』といわれた。

その言葉の意味が分からなくて、どういうことかと問い返したらあっという間に間合いを詰められてキスされた。
おお……!いまの素早い動き!テストなら高得点をあげちゃうッスよ!
なんて一瞬、現実逃避したけど……。

「うう……罪悪感が半端ないッス……」
「罪悪感って……いつまで俺を子ども扱いしてるつもりだ」

スコールはそう言うと、俺の唇にかじりついた。
バードキスなんて可愛いもんじゃなく、入り込んでくる舌の感触に俺の罪悪感はますます強まる。

強まってるくせに、この関係を断らなかったのだから俺もしょうもないのだが。

俺が好きだから恋人になりたいと言ってきたスコール。
俺は一体どこで育て方を間違えたのだろうか。

アーロンよりも上手くやれると思っていたのに、アーロンよりも酷いことになってしまった。
育てて見守ってきた子に掘られるとかどういうこと?

いや、実際に異世界でスコールと一緒にいた時もそういう関係ではあったけれども!!
だからか?俺ってばあのスコールに未練があるのか?

うああああああ。
だからって8歳も年下の子とする羽目になるなんて……。
しかも突っ込まれてんの俺だし。

「……考え事とは余裕だな」
「スコール顔怖いッスよ……」
「誰のせいだと思ってる」

はいはい。俺のせいですよー。
セックスの最中に考え事なんてマナー違反だからな。

ああ、でもなスコール。
俺にだって思うところはたくさんあるんだよ。
こういうことしてると余計にさ。

「……考え事なんてできないくらいにしてくれよ」
「……その言葉、後悔するなよ……!」

きつく絡んでくる舌と熱。
ああ……アーロン、親父……。

俺も子育て下手だったみたいだ。


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弟のように、もしくは子供を育てるつもりで見守ってきたスコールにやられちゃうティーダとか萌えます。
ハァハァ……年下攻めだぜ!!
bkm
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