スコールは難しいように見えて簡単だ。
俺がそう言ったら、フリオニールは不思議そうというか、ちょっとそうは思わないといったように首をかしげられた。
スコールもクラウドもどこか似てる。
スコールはクラウドよりも扱いやすいと思うんだけど。
スコールもクラウドも一緒にいてやればいい。
見かけたらなるべく傍に。
どうせ二人とも、特にスコールは何かにつけて一人になろうとするから、見かけたら傍に引っ付くくらいできっとちょうどいい。
そうして一緒にいて、一緒にいるのが当たり前みたいになったらスコールは攻略ずみだ。
自分の周りのガードは固いけど、突破しちゃえばあとはガードもへったくれもない。
それを悟ったのが珍しくスコールとチームを組んだときだ。
最初は俺がスコール達のとこに混ざろうとしたけど人数とかの感じでうまくいかなくて。
そしたらスコールが俺たちの方に来てくれた。
俺とスコールとクラウドとセシル。
んで、フリオニールがバッツたちに混ざったチームになった。
セシルはいつもと違うから新鮮だねと笑って、俺もスコールが一緒に来てくれてすごいはしゃいだ。
折角だから仲良くなると意気込んで、スコールに猛攻噛ました。
バッツとジタンで慣れてるのか慣らされてしまったのか、スコールにしつこく付きまとっても嫌がったのはわずかの間だけであとは諦めたのか抵抗しなかった。
「スコールと仲良くなったッス」
「良かったじゃないか」
「うッス」
次の拠点で合流して、久しぶりにあったフリオニールにスコールと仲良くなったことを教えた。
二人で火の番をしながら、もうすぐ日がくれるなとかたわいない話もする。
スコールといるのも楽しかったけど、フリオニールもいないのもちょっと寂しかった。
バッツやジタンとももっと話したいし。
俺ってば欲張りだなぁなんて思いながら火に木の枝を投げ込めば後ろから声を掛けられた。
「ティーダ」
声の持ち主はスコールで、俺は笑って振り返る。
フリオニールに『んじゃあとよろしく』と言えば、フリオニールは俺がいなくなることに別段気にする様子もなく片手をあげて返事をくれた。
先を歩くスコールについていけば、人気もなければ人の目にもつかない場所にたどり着き、実にスコールは分かりやすい。
案の定、その場所についた途端、スコールにぐいと手を引かれて、俺はそのままスコールの腕の中に閉じ込められた。
相変わらずいい体してるなと思いながら、俺もスコールの背に腕を回した。
ぎゅうっとお互い抱き締めあって、見つかったらなにしてんだろと間違いなく思われるだろうなとか考えてしまう。
俺が僅かばかり上にあるスコールの顔をちらりと見上げれば、ついっとスコールの顔が近づいた。
俺は空気に流されるまま目をつむる。そうしたら、ふにりと唇に柔らかいものがあたって、内心『うわあ』と思った。
だって、俺ってば仲間の男とキスしてるんだ。
そんなことになるなんて、ここ世界に来たときは思わなかったし、まさかその相手がスコールとは夢にも思わなかった。
でもそれが嫌な訳じゃない。
現にこうしてスコールと抱き締めあうのも、キスするのも初めてじゃない。
スコールと一緒に行動した一日目の夜が初めてだった。
二人で水を汲みにきて、いきなりどうしたのかわからないけどぎゅっと後ろから抱き締められて、それは小さな声で『好きだ』と言われた。
俺としては晴天に霹靂だ。
まさかそんなことを言われるなんて。
というか、俺たちの関わりって始まったばかりだけど色々すっ飛ばしてないかとか。
そういう思いがなくもないが、けどこうして戦い続ける身の上。
明日がどうなるかもわからない。
それに、やっぱり驚きなことに嫌だとか困るとか思わなかった。
いや、恥ずかしいけど。
だから俺はくるりと振り向いて、スコールのムカつくくらいに綺麗な顔に軽くキスしてやった。
そしたらがしりと顔を押さえつけられて、べろちゅーしてくんだからスコールには参った。
こんなところまで獅子奮迅の勢いなんスか。
クールなキャラはどこいった。
そんな風に最初のこと思い出しながら、スコールとちゅっちゅした。
けどスコールはどこか不機嫌で、どうかしたかと問えば、『……なにを考えてる』なんて言うから、笑った。
当然スコールの機嫌は急降下。
そのくせ抱き締める腕の力は強くなるんだからスコールは分かりやすい。
スコールって嫉妬深いし、独占欲強いよな。
「スコールのこと考えてたッス」
笑って俺がそう言えば、ちょっと照れたような顔をするもんだから、ああもう。
ホントにスコールは分かりやすいし可愛い。
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スコールは一足飛びに進みそうな感じがする。
ほら、若いから……。
なので二歩目はありません。