水谷母・きよえの誕生日記念SSです。 父と姉のキャラ勝手に作ってます。 きよえが可愛すぎてもう… いつも晩御飯を食べ終わったら、母さんは食器洗い、父さんはテレビ観て、俺もちょっとテレビ観てつまんなかったら自分の部屋に行ってゲームして寝るか漫画読んで寝るか音楽聴いて寝るかする。姉ちゃんも俺とだいたい一緒だけど、姉ちゃんはそこにプラスアルファ、常に携帯をいじってる。か、友達とか彼氏さんと電話してる。んで風呂入って寝る。 だいたいいつもドロドロで帰ってくる俺のが先に風呂に入ってるから、「また私のシャンプー勝手に使ったでしょ!」とか「お湯足しといてよーもうー!」なんて小言が飛んでくるのは俺が半分夢をみている頃だ。 今日もいつもどおり、母さんの作ってくれた晩メシを腹いっぱい食べて、ごちそうさま。 だけど姉ちゃんは「テレビなんもやってない」と言いながら部屋には行かずに携帯いじりながらリビングにいるし、今キッチンで食器を洗っているのは父さんだ。 母さんは、母さんはどこか上機嫌な様子でソファに座ってテレビを観てる。 時々、「ねえねえ、この人って『ここ曲がるー』のひと?」なんて隣の姉ちゃんに話かけては「なんで、全然違うじゃん」と姉ちゃんの笑いを誘っていた。 俺はというと、適当な雑誌を部屋から持ってきて、テレビの前に転がっている。 ああ、眠い。 高校野球は12月から対外試合が組めない決まりだ。さあ、これが今年最後だよ!モモカンの声が鮮やかによみがえる。夏のような体力の削られ方はしないけれど、決して楽なわけじゃない。そんなわけない。疲れた。腹いっぱいになったせいで眠い。寝たい。 だけど。 「…ねーえ、」 雑誌に目を落としたまま声をかける。 書いてる内容も写真もあまり頭に入らないままページをめくると、母さんがいつものゆるい調子で「なあに、」と返事をした。 俺がよくゆるいゆるいと言われるのは、間違いなく母さん譲りだ。 「ねーえー、」 もう一度呼ぶ。 俺はちゃんと母さんに声をかけたつもりだったから、母さんが返事をしたので間違ってなかったんだけど、なんか、ちょっと、うん、 (ちなみに、たとえ俺が姉ちゃんを呼んでいたとしても、姉ちゃんが一回で返事をすることはあまりない。もっかい、なあ、と呼んで、「何よもう、さっさと言えっ」と若干キレ気味みに返されるのがお約束だ。) 「なあにー?フミキ」 母さんが今度は俺の名前を呼んで応えた。 母さんが呼ぶ俺の名前は、なんだか、どことなく、カタカナだ。文貴、って漢字で名前をつけてくれたひとなのに、なんとなく呼び方がカタカナっぽい気がする。 「…えーとね、」 「うん?」 「…あー…うん」 「なあに?」 視線は雑誌に落としたまま、母さんの顔が見られない。 でも母さんが俺の言葉を待ってる、言わなきゃ、言わなきゃ、 よし、言うぞ、 顔を上げてソファに座る母さんを見上げた、けど。 先に姉ちゃんと目が合ってしまった。 「っ、」 ちくしょう、なんだその顔! 「………母さん、」 「んー?」 「………何か、飲む?」 「ぶふっ」 姉ちゃんが堪え切れないって感じで小さく噴きだした。 それが恥ずかしくて顔が真っ赤になった俺に、母さんは、大きな瞳をぱちぱちと二回瞬かせて、 ふんわり笑った。 「うん。紅茶、あまーいのがいいな」 「…おっけっ!淹れてくる!」 誤魔化すように勢いよく立ち上がれば、姉ちゃんから「私のもおねがーい」と猫なで声。 「やだよ、自分で淹れろよ!」 「はあー?なまいき。おめでとうの一言すら言えないくせに」 「おいっ!関係ねーだろ!」 「ちょっと誰に向かっておいとか言ってんの?ん?」 「文貴もうお茶淹れるのか?ケーキはまだ切らないぞ?」 「いーのっ!今飲みたいの!」 食器を洗い終えた父さんと入れ違いにどすどすと足音を立ててキッチンへ入る。 あーーもう!姉ちゃんなんかだいっきらいだ! 「フミキ、」 ムカムカしながらカップを用意していると、キッチンの入り口まで母さんが来ていた。 そのまま、と、と、と、とニコニコしながら俺のそばまでやってくる。 俺よりぐっと低いところにある茶色い瞳。 そういえば、俺が母さんの身長を追い越したのは、いつ頃だったっけ。 「…ありがと。ね?」 なにが?とか、 俺まだなにも言ってないよ。とか、 そんなことを思ったけれど、幸せそうに笑う母さんには何を誤魔化しても意味がない気がして。 「…おう。」 とだけ、返した。 あとで、ケーキを食べるときに、ちゃんと言おう。 甘いあまいショートケーキを食べたら、ちゃんと言えそうな気がする。 母さん、誕生日、おめでとう。 それから、 父さんが今朝プレゼントしたその髪留め、似合ってんね! (2011/11/29)※泉の誕生日 一日遅れたけど、おめでとうきよえさん! 水谷父は愛妻家!!ヒュー!! (2011/12/06) ちょっと修正。 タイトルも変更! |