承→花、承り視点。短いです 風が、吹いた。 それはかなりの強風で、咲いたばかりの桜の花が、たまらずといった具合にその身を散らす。 「、きゃっ…!」 小さな悲鳴に視線を移せば、制服のスカート丈を短くした女、が。 派手に翻ったそれを慌てて抑えつけていた。 それを目撃した男どもの反応といえば、ある者は釘付けになり、ある者は見て見ぬふりをし。 ある集団からは歓声があがる。 思春期真っ只中の、十代のガキなんざそんなもんだ。 そんな中、俺は。 「───おい、花京院」 「うん?」 「…」 「承太郎?」 「…髪が、乱れてる」 「うん、すごい風だったね」 前髪が目に掛かって前が見えなくなったよ、なんて笑う花京院から、剥がすようにして視線を外した。 柔らかそうな朱髪に絡まった花びらを、取ってやる、とは、遂に言えぬまま。 (触れることを、なぜ躊躇った?) (2009/11/17) (2011/04/01) 私の頭の中が春でした |