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旅の最中、出逢って間もない承+花。






「JOJO」
「…」

学校の女どもと同じ呼び名で呼ばれて顔を上げる。条件反射で眉間に出来たシワはそのままだ。

「君って苦手なものとかあるのかい?…ああ、いや、不躾な質問で申し訳ない」

花京院は俺が何かを言う前に両の手のひらを顔の横でこちらに見せ、親しみやすそうな表情を作ってみせた。

「君という人物はあまりにも大きすぎて、私の物差しじゃあ測れっこないし想像も出来ない。そしてそれが興味となって好奇心を刺激するのは已むを得ないことだと、いま私は考えていたんだ。───つまり、この退屈な時間をたわいもない話でもして消費しようじゃないかという申し出なんですが」

ジジイどもとは別行動、…と言えば聞こえはいいが、今の俺たちはつまるところ『お留守番』ってやつだ。

「…なるほどな」
「ええ」

では失礼するよ、と花京院は俺の隣に腰をおろした。

「…ならテメェの話でもいいわけだ」
「私の?…興味がもてないな」
「フン」
「だがもし君が、私を興味に値すると評してくれるのなら?」
「…ま、無くはねぇな」
「なるほど」
「…」
「さて、じゃあ、話を戻そう。なんだっていいんです、食べ物でも、天気でも」

花京院の言葉に、銜えかけていた煙草をおろす。

「…天気に苦手も糞もねぇだろう」
「、………雷とか」

その一瞬、花京院が見せた表情。
俺は思わず笑ってしまった。

「……そうなのか」
「え?」
「知らなかったぜ」
「…あっ、いや違、」
「なら食いモンもなんかあるな?何だ?」
「…っJOJO、わ、悪い顔になっているぞ!」
「すまんな元からだ」
「…君は時々、いじわるだ」

うっとおしそうな奴の前髪が、ふわ と空気を纏う。
顔を逸らせたそれが合図になった。

「…なら、俺はどうだ」
「……何?」
「俺のことはどうなんだ」

花京院は驚いたように俺を見た。俺は無言で奴の目を見つめ返した。
花京院の瞳は真っ直ぐに俺を見ていたが、そこから奴の感情を読み取ることは難しそうだと頭の隅で思う。

「…JOJOは、私が苦手ですか」
「質問で返すんじゃねぇよ」
「その言葉はそっくりお返ししますよ」
「…」
「…」
「…確かにな」
「はい」

花京院はまだ俺をじっと見ていたが、俺は顔を正面へ戻し視線を遠くへ投げた。
そして帽子の鍔を掴み、口を開く。

「……花京院」
「はい」
「―――時間切れ だ」
「…え?」

「─────…い、おーい!じょーたろぉおおー!かきょーいーんん!!」

ポルナレフ、と花京院が声の主の名を呟く。
そいつはまだ何事か喚きながら駆け足になったが、手にしていた紙袋から何かを落とし、拾おうとして通行人とぶつかった。
その少し後ろで帽子の上から額に手をあてているのはジジイだろう。足元にイギーも見える。そしてポルナレフの落としたものを拾って、ぶつかった現地人に奴がやかられているのを置いてさっさとこちらに歩を進めるアヴドゥルの姿も。

俺と花京院は同時に互いの顔を見た。俺はやれやれだと呟き、花京院はクスクスと笑い出す。


さて、旅を続けるとしようじゃねぇか。











(2009/10/16)
(2011/04/01)
いつ頃とか何処とか細かい設定はスルーで


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