■二人三脚■


「めーちゃん、いち、に、いち、にだからね!」
「わ、分かってるわよ!」

今は体育祭の競技中。
何の競技かといえば二人三脚。
相手?相手はそう…カイト。

次にこの場所からスタートするペアは私たち。バンダナでしっかりと私の右足とカイトの左足が結んであり、カイトの左手は私の二の腕を後ろから抱くような形で掴んでいる。

つまりは今、私とカイトはかなり密接してるわけで…。

カイトが私に話し掛ける度、ヤツの声は私の耳元から聞こえ、どうも平常心が保てない。

耳まで赤いだとか、鼓動が早くなっているだとかがバレてないといいんだけどな…。

どうしてこうもカイトとうまくペアになったかといえば、これは少し日を遡って話さなければならない。





「女子ー、ちょっと集まってー。」

体育委員のお呼びがかかったのはとある放課後。二人三脚のペアを決めるためだった。

「ここにあみだくじが書いてあるから好きなの選んで名前書いて。」

ルーズリーフを見ると、縦線がたくさん書いてあり、その下には汚い字で男子の名前がある。
真ん中らへんが折られているので横線を隠すためだろうと察しがつく。





「めーちゃんとペアになれたらいーなー。」
「!!」

驚いて振り向くとすぐ後ろに居たのはニコニコ笑っているカイト。

「お…驚かさないでよ!」
「別に驚かせたわけじゃないって。ただオレのペアが誰になるか気になっただけだよ。」

まぁ、カイトのペアが私じゃないのは確かよね。だって確率は20分の1といったところだ。

「…あ、この棒選んで。」

指差したのは「カイト」と書かれた直線。

「奇遇ね。私もコレを選ぼうと思ってたの。」

え、何で?と聞かれたけど答えずに自分の名前を書き込む。
だって真上が一番カイトと当たる確率低いでしょ?
私がカイトと当たったら多分緊張し過ぎてコケまくりよ。チームに迷惑がかかるわ。
それに付き合っているとはいえなんか恥ずかしいし…

女子全員の名前が書き終わり、いよいよペアの発表。

「実はコレ、直線だけでした!」

体育委員がルーズリーフを広げるとそこにはただの直線。それを見た女子がああだこうだ言っている。
私のペアは直線の真下に書かれたカイト。
う、嘘でしょ!?
カイトはカイトでわーいなんて喜んでいる。

「やっぱめーちゃんオレと組みたかったんだね!」
「そうじゃなくて!…ていうかアンタ、あみだくじが直線だって知ってたの!?」
「さあどうでしょう。でもオレが言った通りの線を選んだのはめーちゃんだよ?」

っ…!!
何も言い返せない。

「もうこれは運命だね♪」
「もーっ!バカバカバカ!」

何よ、アンタは嬉しいかもしれないけど私はめちゃくちゃ恥ずかしいんだから!
カイトの胸元をボコスカ殴る。痛い痛いなんて言ってるけど、そんなの知らない。





―とまぁこんな感じでカイトとペアになってしまった。

とりあえずなるべく平然を装うのだけれど、カイトの背中に当てている右手に妙に力が入ってしまう。

「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ、めーちゃん。」

カイトの手がそっと私の髪を撫でる。それが心地よくてつい寄りかかってしまった。
なんだかんだで私はコイツと一緒にいると一番落ち着くのね
…悔しいけど。

「…あのー、そんなにくっつかれるとオレが緊張するんだけど…」
「私の緊張は無くなったんだけどなー。じゃあどうしたら落ち着く?」
「んーとねぇ…ほっぺにチュー。」
「それ何て公開処刑?」
「痛い痛い!ごめ、ちょ、わき腹つねらないで!」

冗談です!ってカイトは弁解するけど、そんなこと分かってるわよ。
フフフ、これで緊張は消えたんじゃない?

「酷いやめーちゃん…。」
「ホラ、もうそろそろバトン来るわよ。準備して。それに…」

私たち昔から一緒だったんだから息はピッタリのはずよ、自信持ちなさい。

「ん、なんか言った?」
「なんでもなーい!」





■あとがき■

終わり方雑ェ…

実際にこんな決め方で二人三脚のペアを決めたことがありまして…。

ちょっくらカイメイに変換
したかった\(^O^)/(笑)
管理人は非リア充(`・ω・´)キリ



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