「...し、ず.....」

「.....このまま寝てろ、あとでベットに運んでやっから....」

「ん.....ありがと.....」



すっと目を閉じたかと思うと一定のリズムで聞こえる寝息。俺の肩に預けられた頭。
どうやらここ数日徹夜ばっかりだったらしく、目の下の隈もひどい。
よくこんな状態でさっきまで起きていたものだ、と細く頼りないその体を抱きしめた。

久しぶりに電話がかかってきて、来てみれば結構ひどい状態だったなと思う。
余程つかれたんだろう、俺が部屋に入るなり抱きついてきてそのままばたん、だ。


とりあえずベットに寝かそうと、臨也の体を持ち上げた。
触れた場所から伝わる、臨也の鼓動。
あぁ、そういやこいつにも心臓があるんだなと思いながら俺は寝室へと歩き始めた。


どくん、どくんと臨也に触れた所から心音が響く。それが俺のものなのか臨也のものなのかはわからなかった。
臨也は、言う。冗談なのか本気なのか良く分からない声で、俺の心臓が欲しいと。

別に心臓ぐらいならくれてやる。が、幸か不幸かおそらく俺の心臓が止まる時は臨也の心臓が止まる時だ。
渡しようがないがどうしよう、と思ったがまぁこいつのことだどうにかするんだろうと思った。


寝室のドアを足であける。普段なら俺のこの行動を嫌がる臨也は俺の腕の中ですやすやと寝息をたてている。
その体をそっとベットに下して、枕の位置を調整しようとしてため息をついた。


無機質なナイフは、冷えた空気のせいで冷たい。寝てるときまでこんなもん握り締めてるのかと思うと、やはりこいつは馬鹿だ。
殺される心配があるのなら、情報屋なんて仕事なんざやめちまえばいいのに。

が、俺がやめろと言ったところでこいつは絶対にやめねぇ。


「.....ちゃんと覚えてろよ、臨也。お前を殺すのは俺だ。」


死んだように眠る、臨也の唇を塞いだ。
没収したナイフは俺の掌の中で、ばらばらと崩れて床に落ちた。


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.....なんだろ、これ...
  


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