『愛して』
突如目の前の黒い服を纏う男はそう言って俺の首に手をまわした。
もう二時だってのに、家のドアが叩かれて開けてみればこの様だ。師走の夜を歩いてきた臨也の体は驚くほど冷たかった。
「臨也、離れろ。」
「......嫌、」
「...中、入れよ。風邪ひくぞ。」
とりあえず、抱き返したもののそれ以降全く微動だにしない臨也にしびれを切らした俺は、結局その体を抱きかかえて部屋のベッドに腰を下ろした。
未だ俺の首に手をまわしたままのそいつから、明らかにアルコールの匂いがして、思わずため息をつく。シャツの肩口が少し冷たい。
「手前また飲んでたのかよ....」
「うるさい、シズちゃん、.....愛して、愛し、てよ、ねぇ、愛してよぉ....」
「......泣き上戸.....」
臨也が酔ってここに来るもの、こんな風に訳わかんねぇことを繰り返すのも別に珍しいことじゃない。
酔った臨也は奇妙なほど素直だ。普段が歪んでいる分、アルコールが入ると違う意味でやばくなる。
普段は絶対俺に甘えてこないのに、こんな風に俺に甘えて泣くのだ。
『愛して』と。
「....ったくよ、別に手前が嫌いだとか言ってねぇだろ」
「そういうことじゃないんだよ、馬鹿ぁ。俺は愛して、って言ってるの!」
「意味わかんねぇ.....」
素直にそう口に出して言うと気を悪くしたのか臨也が思い切り俺の手に爪をたてる。
痛いわけでもないので、しばらく好きにさせていると不意に臨也が口を開いた。
「シズちゃんはずるいんだよ......」
「あ?」
「バケモノ のくせに、俺と同じくせに........、」
「......臨也?」
いつもわけわかんねぇこと言ってるとは思ってたが今日はいつもに増しておかしい。
不思議に思って顔を上げさせると、赤い目がさらに潤んで。ぶわ、と効果音がつきそうな程涙がこぼれた。
「......なんで独りじゃないの?」
俺をおいていかないでよ、と震える声でそう呟いて、臨也は嗚咽を飲み込む。
俺が独りじゃない?どういう意味だ、と問おうとするものの目の前の臨也はただ涙を流すだけで。
おいていかないで、と涙を流す臨也は、少し儚いように感じられた。
「.......置いていかねぇよ、勝手に決めんな。」
「.....」
「それにお前は独りじゃねぇだろうが。」
俺がいるだろ、とは口にしなかった。こいつは別にそんな言葉は望んじゃいねぇ。
言葉よりも、温もり、と言ったところだろうか。きつく抱きしめれば小さく笑うのがわかった。
「シズちゃん、愛してる。」
「.......うぜぇ、」
赤く熱を持ち始めた目元にキスを落とせば、臨也はゆっくりと目を閉じた。
すやすやと眠るその体に布団を掛けて、俺は呟く。
「 」と。
月明かりに照らされた寝顔がまたすこし、笑ったような気がした。
*******
臨也さんとシズちゃんの違いはぼっちかそうでないかってのもあるよね、っていう.....
シズちゃんは俺だけを見てればいいのに!とか思ってトムさんとかトムさんとかトムさんとかにいらいらして.....、ん〜、してなさそう←
臨也さんはあくまで臨也さんだから多分平然としてるんだろうなぁ....
......と、言うわけで捏造てきな臨也さんでした。原作からは考えられないよね←
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