深い闇とネオンの明かりと、池袋の声が今日も夜を作り出す。

聞こえてくるのは、疲れ果てたサラリーマンの戯れ事や、群れ成す若者の虚勢混じりの騒ぎ声。


その中で俺はヒトリ息をする。
深く息を吸って、全てを吐き出す。心の奥底に眠るなにかも一緒に吐き出して、俺はオリハライザヤになる。

喧嘩を、いや殺し合いをすることでしか俺とシズちゃんの関係が成り立たないのならば、それでいいじゃないか。

シズちゃんの俺に対しての憎しみと俺の気持ちを今日もぐちゃぐちゃに掻き回す。境界線などわからなくなってしまえばいい。二つの歪んだ感情が溶け合えば、きっと綺麗な色を生み出す。


伝わらない想いを嘆く?悲しむ?
そんな感情俺には必要ないからまた今日も嘲笑う。
俺へと伸びる優しい手などいらない。
その手は、その手だけは俺を傷つけ痛めつけるものでなくてはいけない。


だからシズちゃんだけは変わらないで。
周りや季節が変わってもどうか君だけは....


手、なんか取り合わなくていい。
俺は独りでいい。
ぼっちだろうがなんだろうが関係ない。
俺の存在を深くは考えないで。ただの憎む相手として俺を思って。
深くは考えないで、でも君の心の奥底にいさせて。


だから今日も君をとおせんぼ。
俺独りここに残して先に言ってしまわぬように。

だから今日も俺はかくれんぼ。
全てを変えるなにかに見つからないように。


「......シズちゃん.....」

殺したいくらい大好きだよと俺は一人呟いて、かくれんぼを続ける。
だから君はこれからもとおせんぼされつづけて...

「ねぇ、 」


(大好きだよ、と繋がれた言葉は泡のように消えて)



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