「ねぇ、水無月さん?」
「は、はい。なんですか赤司君?」
「君、磨けば光るのに。どうして磨かないんだい?」
「そ、そんなこと言われても……。私地味ですし、あまり自分に自信が持てないというか…。」
同じ歳だと言うのに敬語を使い、人と目を合わせて話そうとしない。うつむいて、手をもじもじと絡ませた君の瞳を、前髪を掻き分けるようにして覗き込もうとすれば、「ち、ちちち近いですっっ!!」と、物凄い勢いで後退されてしまった。まぁ、いいか。
ほんと、磨けば光るのに。どうして努力しようとすらしないのだろう。そして、どうしてオレも、こんな子のこと気にしてるんだろうか。
「…………あぁ、そうか。成る程。」
「え?」
割りと早く、且つ明瞭に胸の中で出た答えに、思わず声を出して納得する。その声に、少し驚いたらしい彼女の、大きくて純粋な色の瞳と目があって、内心で喜んだのに彼女はすぐに逸らしてしまった。まったく、なかなか困った子だ。
「あの、赤司君。わ、私これで…し、失礼します…っ」
パタパタと走り去って行くカンナの背中を見ながら、口角だけを上げる。さて、やることが山積みだ。
「オレ好みの女に…なってもらわないと、ね。」
だってホラ、いざ付き合い始めて、釣り合わなかったら可哀想なのは彼女だろう?
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