「お、お前何してんだ?!」
隣の部屋、その隣の部屋、と移っていき、寝室のドアを開け放つと。
「あっ見つかった?」
ベッドの下を漁っている水無月に出くわした。
「お、ま」
「探してみました!エロ本!」
ビシッと敬礼をして、直立してそう言う水無月に、今度こそ間違いなく頭痛がした火神は、ふらりとよろめきながらドアの縁に手を置いて身体を支えた。
「あれ、どしたの大我?」
「ど、したの、じゃ、ねぇよ!!ねぇよ、んなモン!」
激昂してそう言うと、ふふん、と笑って水無月はこう続ける。
「いやいやいやいや、ないワケがないね。健全な男子高校生君よ。真実はいつもひとつだからね!」
「少なくともお前の信じてる真実とは違うけどな!」
もう怒る気すら失せて、ふらふらと、廊下をリビングへと戻る火神に、トコトコとついてきながら、「えー、じゃあ大我はどうやって処理するのさー?」と言う水無月に、お前を想像してに決まってんだろ、とは言えるワケもなく、「うるせ。女がそんなこと口にすんじゃねぇよ」とだけ言っておく。
「男尊女卑だぁー」と、その言葉を考えた人に謝らせたくなるような彼女を、好きになってしまった自分はやっぱりバカなのだろうか、と頭を抱えた。
prev/ next
|