「まさに絶景、よの」


白くしなやかな肢体が揺れている。窓から差す月光に照らされたそれが身じろぐたび、赤い縄がぎしぎしと呻き声をあげる。
両腕は背で縛られ、そこから天井にむかって縄が伸びている。
片足は縄で強制的に持ち上げられている。それと背中の結び目から伸びる二筋の赤のおかげで、彼のからだは吊り上げられ、残ったもう片足がようやっと地面についている状態だ。


「ふ……んっ…!」


片足を上げている体勢のせいで、尻たぶが割り開かれ、恥ずかしい所が丸見えだ。
それを恥じているのだろう。うつむいて視線を反らされているおかげで、彼の表情は見えない。
その様子とからだの秀麗な線が、好色な視線をおくる二対の目を楽しませる。


「あぁ、荀イク殿…とても可愛らしいよ。もっとよく見せてほしいな」







『郭嘉よ、今宵は二人で朝まで楽しまぬか?』


曹操の誘いは唐突だった。
いきなり郭嘉の私室にきたかと思うと、先ほどの台詞だ。
何やらとても楽しそうな。というよりは、悪戯を企んでいる童子のような。そんな笑みを浮かべているのが、ほんのちょっと気になった。
だがこの二人にとっては、こんな急の誘いは珍しいことでなかった。
それに主が用意するものは、上等な美酒ばかりだ。郭嘉にとって断る理由なんてないから、違和感を持ちながらも二つ返事で了承した。
―――まさか、あんな淫靡な事態が待っているとは知らずに。


太陽が沈み、宵闇が街に迫る。同時に、曹操との約束の刻限が近づいてくる。
仕事なんて退屈なものなんて止めて、早く享楽に酔いしれたい。
はやる気を抑えられず、執務もそこそこに、主の私室を訪れ戸を軽く叩いた。
ところがいくら戸を鳴らしても、聞こえてくるはずの返答がまるでない。

まだ部屋に戻っていないのだろうか?それとも、曹操殿に何かあったのだろうか?
不審に思いながら戸を開けると、そこには思いもよらない光景が広がっていた。


「荀イク、殿…?!」


誰が想像しているだろうか。
主の自室を開けるとそこには、肌も露わな姿で縛られている友人と、その側でにやにやと笑む主の姿があった、だなんて。


「か、郭嘉、殿…?!み、見ないでください…!」


郭嘉の姿を確認するなり荀イクは、ひどく狼狽し泣きそうな表情を浮かべた。
そして見るな、見ないでくれとか細い声で懇願し続けた。
これは一体、どういうことなのか。
さすがの郭嘉も混乱し、説明を求めて曹操に視線を向けた。すると主は郭嘉だけにわかるように、唇の動きだけで言葉を紡いだ。

―――お主も混ざれ。


さらに郭嘉を煽るように、いやらしい手つきで荀イクの肌をねっとりと撫でる。すると友人は、控えめながらも艶やかな吐息を漏らした。
この位置で彼を縛ったのも、入室してきた自分にはっきりと見せつけるためだろう。
相当に悪趣味なお戯れだ。最初からこうして『朝まで楽しむ』つもりだったのだ。


「本当に、見ないでください…ッ!」


全てが主の思い通りになってしまったことに、少しばかり悔しさがつのる。
―――だがそれ以上に、魅力的な誘いに頭がくらくらする。
まるで上等な酒に酔った時みたいだ。
こんな美味しそうな据え膳を食わない男など、男と呼んでいいものか。


「ええ、いいでしょう。…荀イク殿、私も存分に楽しませてもらおう、かな」







あれから、どれほど経っただろうか。
部屋の冷たい空気に、三人分の淫蕩な吐息が溶けている。


「は、ぁ…ん…ん…っ!」


前からは郭嘉が、背後からは曹操が、きめ細かくなめらかな素肌をゆっくりまさぐる。
手の平も指も、全てを使って愛撫してやれば、それに答えるよう肌がひくり、ひくりと震える。
本当にこれは男のものなのだろうか。そう疑いたくほどに、布の下に秘されていた皮膚はすべすべとして、いつまでも触っていたくなる。


「ふぅ…ん!く……ッ」
「ふふ、期待しているんだね。すごくドキドキしてる」
「んっ、ん…んぅ……!」


彼の意思なんて全てわかっているのだから、言葉なんて無用だ。
視線を微塵たりとも逃さぬよう、彼の後頭部に手を当てる。そして返答を待たず郭嘉は、伏せられた顔を上げさせ唇を重ねた。


「む、ん…っん…ぁ…!」


なおも逃げをうつ舌を、絡めとって捕らえてやる。
そのまま歯茎もすみずみまで舐め、粘膜で触れ合って熱を分け合う。
心ゆくまで堪能し、唇をようやく離すと、どちらのものかわからない唾液がつぅ…っ、と糸をひいて垂れていった。


「ひゃア!ぁ、嫌、んっ…殿、そこは…ァ、ひっ!」
「まったく、いつ聞いてもイイ声で啼きおるわ」


今度は曹操が耳へちゅ、と口づけ、耳殻の形を確かめるように舌でなぞった。
低く囁き、吐息を吹き込みながら耳へ舌を差しこんだら、赤い頬がさらに赤く染まった。
じゅぷじゅぷと水音をたてながら舌を出し入れして、神経の末端まで犯す。


「ん、ッん!あ、二人とも…くッ、ほ、んとに、これ以上は…いけません……!」


熱に浮かされきった、震える声で荀イクは必死に諫め続ける。
…いや、制止を求めると言うよりは、自分に言い聞かせているのかもしれないけれども。


「あ!あ、ん!ン…はぅ…ッ!」


目の前で揺れる、淡く色づいた粒を郭嘉がきゅっと摘んでひっぱった。
側面を擦り、捏ね、乳頭を弾いたり押しつぶしたり、乳輪を指でたどる。
触れば触るほど弾力を増すこりこりとした触感に、もう止められなくなってしまいそうだ。


「少し触っただけで、もうこんなに固くしてる……なかなか敏感な反応をするね」
「儂が丹念に開発してやったからな。当然よ」
「んぁ、ン、あ!ゥ、あ、くッ…!」


自慢気に曹操が笑った。
返事をする代わりに、先端をぷっくりと膨らませた乳首をひたすらに愛撫する。
―――主の手によって教え込まれた性感を、いっそ私が教え直してしまおうか。


「い…ッ!ン、痛、ッあ、ア!痛い、です…っ!」


曹操がかぷ、とうなじを噛むと、荀イクの肩がビクッと揺れた。
ぎしぎしと縄を鳴らし、身をよじって逃れようとするが意に介せず、首筋の皮膚の薄いところばかりを狙って歯を立てる。
ともすると服を着ていても見えてしまいそうな箇所にまで、痕は散りばめられていた。


「ッんん…!あ、ァ、んっ!はぁ、くッ……!」


端正な顔は、快楽の炎でとろとろに蕩けきっていた。
ハッハッと熱い息を吐きながら、快感に目はうるうると潤んでいた。
普段は絶対に見られない、友のいやらしい表情に、目が逸らせなくなる。


「荀イクよ、己の目でしかと見てみよ。無体を働かれても、お主のココはしっかりと勃っておるぞ」
「な…ッ!あ、や…嫌…ッ!」
「嘘はいけないな。嫌、なんて言いながら、どこもかしこも疼いて仕方ないんでしょう?」
「や、やめて、ください…!」


曹操の言うとおり、荀イクの陰茎はしっかりと膨らみ天を仰いでいた。
床に膝をつき全身を見上げれば、蜜を垂れ流している茎も、ぱくぱくと口を動かしている蕾も、全てがよく見える。


「ぁア?!ひ、嫌ッ、おやめくださ…ッ!」


物欲しげな蕾を曹操がべろりと舐めてやると、ビクビクッと全身が大仰なまでに跳ねた。
わななく太ももを掴み、わざとべちゃべちゃと淫猥な音を立てながら窄まりを濡らしていく。


「アっ、ひゃア!あ…いけません、きたないですから…!」
「何を言うか。ここはきれいな色をしておるぞ。…儂にすべて見せてみよ」
「そこで喋らないでください…ッ」


息が吹きかかるだけでも感じてしまうのだろう。
曹操が喋るたび、荀イクは悩ましげに眉を寄せ、腰をゆすった。


「んッ…く、はぁ…あ、ああァっ!」


敏感な反応に気をよくした主は、さらに愛撫をほどこす。
緊張をほぐすようにひだを一枚一枚ていねいに舐め、ある程度柔らかくなると赤い粘膜に舌を差し入れた。
かと思うと気まぐれな舌は、悪戯に蟻の門渡りをつんつんと突く。予想のつかない愛撫に、荀イクはただただ身を震わせることしかできなかった。


「物欲しそうにヒクつかせおって。儂の舌が食われてしまいそうだ」
「あ、んアぁ…ッ!殿、も…どうか、お許しを…」


主が己の秘部を舐めている。
清廉な荀イクには、とても耐えられない行為なのだろう。今まで一番涙を浮かべ、いやいやと頭を振って逃れようとしている。
しかしそれも全身を戒められているせいで、縄をギシギシと鳴らすだけに終わる。
こうして恥じらう仕草が余計に男を煽るのだ。はたして聡明な頭脳はそれを理解しているのだろうか。


「それじゃあ、私はここを愛でてあげようか」
「ッああ!郭嘉殿、んッ、やら、やめてください……!」


荀イクの前に座ると郭嘉は、快感に涙をこぼす茎をぱくりと食んだ。
唇で優しくつつみ、舌で裏筋をくすぐる。口でやわらかく可愛がり、付け根の部分は手で圧をかけてしごく。
むせ返るような雄の独特な臭いが鼻腔をくすぐるが、彼のものなら全く気になんてならない。
ずしりと重くなった玉袋も弄びながら、丹念に舌を滑らせていく。


「う、うゥ…っ、嫌、いや、です…!」


―――主と友人に、こんな抱かれ方をされるだなんて。
あまりの恥辱に耐えかねて、ついに荀イクはさめざめと泣き出してしまった。


「荀イク殿……」


さすがにこんな涙を見せられては、いささか可哀想な気もする。
だがそれ以上に、赤らんだ頬と潤んだ瞳が、どうしようもなく雄の征服欲を煽る。
男とは、身勝手で単純な生きものなのだ。だからこれは仕方ないことだ。


「ァ、ああア!ひッ、ん!ッあ、ア、あ!」


同じことを、ちょうど主も思ったのだろう。
示し合わせたかのように、責める手が同時に強まった。
激しい責めに、口の中の陰茎が限界を訴えて震える。


「あ、や、ァあ!も、はなしてください…!」
「イってしまいそう?ひひよ、私の口にいっぱい出ひて」
「そんな、こと…ひぅぅッ!!」


下腹部に力を入れ耐える荀イクを咎めるように、じゅうじゅうと亀頭に吸いつく。
青臭く色濃い、性のにおいがどんどん口内を満たしていく。


「あ!ア、ほんと、に…これ以上はダメです、から…!」
「いいから、我慢せずにイけ」
「ひッ…ア、すみま、せ、ァ、ひ!ッああア―――…!!」


砲身を手で抜きながら、一際先端を強く吸う。
そうしてやれば悲鳴のような嬌声をあげて、どろりとした白濁を口内に吐き出した。


「ふふ、ごちそうさま。ずいぶんと量が多かったね」


量と勢いに、思わず零しそうになったが、せっかく荀イク殿が出してくれたものだ。
ごくりごくりと、わざと音を鳴らしながら、全てを飲み干した。


「はぁッ…はぁ……」
「少しばかり動くでないぞ」


吐精し、ぐったりと脱力した荀イクのからだを抱きとめ支える。
その間に曹操は、全身を戒めていた縄をするすると器用に解いてしまう。
縄は解かれたものの、余韻のせいでまだ自由が効かない肢体を、抱きかかえ寝台に運んだ。


「との……」
「ん?なんだ?」
「このような戯れ…もう嫌です…どうか、おやめください……」
「それは聞けぬ相談だな」


そんな。
絶望が、切れ長の瞳いっぱいに広がる。


「まだまだお主を堪能し尽くしておらんからな。今宵はたっぷりと愛でてやろう」


そう言いながら曹操は、荀イクをうつ伏せにさせ、上半身を自分の膝に乗せた。
そして衣服をくつろげると、いきり立った剛直を荀イクの眼前に晒した。


「いつも儂にしている通り、奉仕せよ」
「そ、れは……」
「なんだ、郭嘉に見られるのが恥ずかしいか」


目の前の雄から視線を反らし、居たたまれなさげにモジモジと腰を揺らめかせる。
だけど確実に、荀イクの吐息はまた熱くなり、欲情の炎を灯していた。


「できぬと言うのであれば、後ろにはやれぬな。お主とて、もう欲しくて堪らないのであろう?」


意地の悪い顔で、曹操が問いかける。
荀イクの喉仏がごくり、と上下した。


「んぅっ…む、ぅ……」


思考を巡らし迷いながら、陰茎をじぃっと見つめる。そしてついに観念し、おずおずと陰茎を口に含んだ。
あの荀イクが魔羅をしゃぶっているなんて、普段の姿からはとても想像もつかなくて。その光景がひどく倒錯的だ。


「ん、む…ん……っ!」
「く、はぁ…ッ、よいぞ、もっと続けよ…!」


恥ずかしさからか、荀イクの舌使いはたどたどしい。けれど、決して不慣れな動きではない。
曹操殿の言うとおり、彼は抱かれることに慣れているのだろう。…こうして男に奉仕することも。


「じゃあ私はこちらを可愛がってあげようか」
「んッ!ン、ゥ、んーっ…!」


腰だけ高くあげた体勢をとらせると、郭嘉は香油を纏わせた指をゆっくりと入れる。
曹操の愛撫でしとどに濡れ、既に慣らされていた浅瀬は、不埒な侵入者をすんなりと許した。


「っん…く、ん……ッ!」


締めつけてくる媚肉を押しのけつつ、中を探る。
だが目的はあくまでも、彼を痛めつけることではなく可愛がることだ。至極の宝玉を傷つけぬよう、慎重に指を進める。


「ッああア!」
「…見つけた」
「ひ、ぅア!かくか、どのぉ…ッ!やめ、あ、や、ああァっ!」


指先に何やら硬いものが触れた。と思ったのと同時に、荀イクが鼻にかかった甘い声で啼いた。
どうやら、彼のイイところはここで間違いないみたいだ。
私の手で、彼の性感帯を見つけた。その事実にとてつもない歓喜を覚えた。


「郭嘉よ、こやつはじっくりと焦らされるのが好みらしいぞ」
「曹操殿がそうおっしゃるのなら」
「ア!あ、あッ、や…ぅ、あア!」


言われたとおり、前立腺に触れるか触れないかの微妙な位置を撫で、焦らすように指を動かせば、より艶やかな声があがった。
じれったそうに腰が揺れ、もっともっとといやらしく誘惑される。
今すぐにこの淫孔に突っこんで、中をかき混ぜてグチャグチャにしてやりたい。だけど、まだダメだ。
もっと溶かして、食べごろになるまでは。極上の果実が熟すのを待たなければ。


「ゥ、あァ!や、やら…ッ、あア!」
「これ、ちゃんと舐めぬか」
「もぅ、し…訳ありません…」


後ろの刺激に気を取られ、もはや荀イクの口はまともに働いていなかった。
頬にぺちぺちと陰茎が当たり、曹操の先走りがやわ肌を汚しているのが卑猥だ。
それでも主に叱責されると、再び唇を動かして健気に奉仕を続ける。


「ンう、う、んッ…ン!ぁ、んゥっ!」


一物を口に含んでいるせいでくぐもっているけれど、既に荀イクの声から理性は消えていた。
その証拠に、触れられてもいない彼の茎はまた熱をもって、ダラダラと先走りを流しつつ、蕾も郭嘉の指を三本も飲みこんでいた。
はしたない姿に、陶然と笑みが浮かぶ。


「そろそろ大丈夫、かな」


これだけぐずぐずに蕩けていれば大丈夫だろう。
そう判断し、縁にひっかけながら指を一息に抜いた。
たったそれだけでも荀イクはア…っ、と名残惜しそうに啼いた。


「郭嘉よ、お主のをいれてやれ」
「よろしいのですか?」
「構わぬ」


正直、荀イクがいやらしすぎて、郭嘉も我慢の限界だったのだ。
言われるがまま手早く衣服をくつろげると、ヒクヒクと疼かせ雄を待ち望んでいる後孔に、昂ぶりきった自身を宛がった。


「荀イク殿、挿れるよ」
「かくかどの、待ッ……!」
「もうこれ以上待てないな…っ!」
「ッぐ、ぅア!ああ!!」


這って上へずれようとする腰をがっちりとらえ、少しずつ剛直を押し入れる。
一番太いところが入ってしまえば、根本まで飲み込まれるのは簡単だった。


「ッく…ぅ………!」


すごい締めつけだ。それに、とても熱い。
逃がさないと言わんばかりに、壁がきゅうきゅうと絡みついてくる。なんだこれは。とんでもなく気持ちいい。
気を緩めたら、すぐにでも出してしまいそうだった。
低く呻き、深く息を吸ってなんとか持ちこたえる。


「郭嘉よ、荀イクの両足を開け」
「…仰せのままに」
「な……?!」


なるほど。私に挿れさせたのはそういうことか。
郭嘉は繋がったまま荀イクのからだを起こし、背面座位の体勢を取った。そして彼の太ももの裏に手を入れ、左右に割り開いた。
そうしてやれば、自然と曹操の前で大きく開脚する格好になり―――。


「っふふ、郭嘉の一物を美味そうにくわえ込んでいるのが丸見えよ」


当然、結合部もはっきりと見えてしまう。
からかうような曹操の言葉に、荀イクは涙を浮かべ逃げようとするが、郭嘉に深々と貫かれているせいでそれも叶わない。
あぁ、羞恥からかまた後ろがきゅ、きゅと締まった。


「さて、荀イクよ。先ほどの礼に、儂も舐めてやろう」
「ッああア!」


晒された荀イクの下肢に擦り寄ると、曹操が茎を口に含んだ。
曹操の口淫に合わせて、郭嘉も律動を開始する。


「ひぁア!や、あ、あ、アッ、ン!やぁアッ、だめ、だめぇ…ッ!」
「どうかな?前後同時に、責められてみて。気持ちいいでしょう…ッ!」
「はァあ!あ、あァ、はぅ…あっ、んァ!」


耳元をくすぐりながら、問いかける。
…快楽に支配された頭では、もう聞こえていないのだろうけれど。


「ぁあ、ぅン、あア!ぁ、も…こわれ、てしまいますッ…!ッああ!」


過ぎた快楽にいやいやと首を振るが、弱点をごりっと容赦なく突いてやれば、目を細めて悦ぶ。
その間にも曹操が、じゅぽじゅぽと卑猥な音を響かせながら、前を責め立てている。
頬を紅潮させ、涙やら涎やらでぐしゃぐしゃにして。まさに発情しきった獣の顔をしている。
そうだ、この表情が見たかった。


「どうだ郭嘉、荀イクはいやらしい顔をしておるだろう?」
「ええ…っ、思い描いていた通り。いや…それ以上、ですね」


郭嘉の心情を読んだかのように、曹操がにやにやと問うた。
戯れに曹操の舌が尿道をくじると、ひぃッと悲鳴があがった。その拍子に媚肉が一層絡みついてくるのだからたまらない。


「あぁ、荀イク殿…!やみつきに、なってしまいそうだ…っ」
「やはりお主は最高よ…!」


溢れんばかりの激情を伝えようと、熱に浮かされた二匹の雄がひたすらに欲をぶつける。
この清らかで美しい人は私達のものだ。彼のこんなにも淫らな姿は、私達だけが知っていればいい。
他の男に汚されてしまわぬよう、大事に大事に囲って愛でてあげなくては。


「も、あァ、むり、です…はァっ、あっだめ、ア、ああっ」


そろそろ限界が近いらしい。荀イクの声が切羽詰まったものに変わってきた。


「思う存分、イかせて、あげるよ…ッ!」
「ア、んゥ!ああ、ア、ひ、あア、イッ―――……!!」


荀?の絶頂を促すために、郭嘉は激しく腰を揺すって、しこりを重点的に押しつぶし最奥まで穿つ。
曹操もまた、根本から先端へ、彼の中で上りつめているであろう精液と同じ動きで茎をしごく。
苛烈な刺激に耐え切れず、荀イクはびくびくと全身をわななかせ、二度目の精をを主の口へ出した。
達したおかげでよりキツくなった締めつけにもはや抗わず、遂情の余韻に蠢く内壁を数度突き上げ、郭嘉も中に射精した。


「はぁ……ぁ…」
「荀イク、次は儂の番よ。まだ寝かせはせぬぞ」


精を飲み干した曹操が、口の端についた白濁をぺろりと舐めながら荀イクに覆いかぶさる。
郭嘉に身を委ね、ぼんやりと息を整えていた荀イクは、その不穏な言葉にハッと我に返った。
主を必死に押しのけようとするが、力の入っていない腕では無意味だ。


「あ…との、お待ちを…!」
「待ったはなしだ」
「ん、ア……!」


制止を求めても、構うことなく曹操はからだに手を這わせる。
それを見た郭嘉は、吐精して萎えた自身を引き抜いた。
注がれた精がこぷ、と内股を伝う感覚に、荀?はぶるりと身震いした。


「もっともっと気持ちよくしてあげるから、ね?」


諭すように、優しく甘く囁きかける。
受け入れたのか、それとも諦めたのかはわからない。だが荀イクは目を閉じ、二人に全身を委ねた。
伏せられた長い睫毛の影に、思わずどきり、と胸が高鳴った。

ああ、本当に彼にのめり込んでしまいそうだ。いや、もう私は既に―――。
考えるのを放棄して、郭嘉は目の前の肢体に恭しく唇を寄せた。




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