飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


「起きたか」

痛みとフェイタンの声に意識が浮上した事があるが、フェイタンと声を出そうとしてるのに声が出ない、たまになるこの現象にそう言えば首を切られたんだったと思い出す。

「何度見ても不可思議な光景ね」

そして、徐々に首が繋がって行くのがギシギシと軋む身体の痛みを感じてわかる。何時もより幾分かマシな痛みの中、私の生き返る瞬間をフェイタンは何度か見た事があるような言い方に見られていた事を知った。

「ごめ、んなさい」

首が繋がった私は第一声に誤った。今までの事を考えると到底誤っただけでは、今の私の現状は許されるようなものでは無いが、謝らずにはいられなかった。

「それは、後で聞くね」

フェイタンはまだ痛む私の身体の上に新しい服と下着を置いた。少し前に貰った服と似ている服に今の自分の身体を確認すると布団は被されているものの裸のようだ。そういえば、前に貰った服はあの男との戦闘でボロボロになってしまったんだ。っと折角貰った服を駄目にしてしまった事がショックだった。

「早く着替えるよ」

なかなか動き出さない私にフェイタンはそう言ったが、一向に部屋を出て行く気は無いみたいで、ずっとこちらを見ている。裸で寝かされていた私は、生き返る前のような汚れは付いていなくて、恐らく裸で寝かされていた事からもフェイタンが脱がせて拭き取ってくれたか風呂に入れてくれたんだろうけど、それでも見られながら着替えるというのは少し恥ずかしくて、布団の中でゴソゴソと着替えた。

「着いてくるね」

私が着替え終わったと同時にフェイタンがそう言うので、私は急いでベッドから降りて、用意されていた靴を履いてフェイタンを追いかける。

「何も聞かないの?」

「後で言たね、それとも皆んなの前でされたいか?」

フェイタンが言っているのは拷問の事だろうが何故かカァーッと顔が熱くなったのがわかる。私は思いっきり首を横に振ったが、きっと私の顔は真っ赤になっているだろう。フェイタンはそれを見て笑っていた。それを見て私は、フェイタンはそんなに怒って無いのかなっと思った。だけど、この前最後に見たフェイタンはかなりキレてたしっと考えながら歩いてると、昨日見た広間に着いた。

「リノン!おはよ!」

広間に入ってすぐにシャルが廃墟に似合わないような明るい笑顔で私に近づいて来た。他にも前見た人達がいる。

「本当にちゃんと治るんだ」

そう言いながらシャルが私の身体を確認しようと触ろうとした瞬間、フェイタンの手によってはたき落とされる。

「そんな、独占欲丸出しだと嫌がられるよ」

シャルがそう言ってフェイタンを睨むとフェイタンもシャルを睨む。しばらく睨み合いが続くとこの前私が戦った男が、団員同士のマジ切れは禁止だろうっと言った。
本当にフェイタンとシャルは仲が良いのか悪いのか。

「リノンはシャルの事嫌いね、触られると可哀想思たよ」

「は?あれはフェイタンの嘘だろ」

シャルの言葉にあの時私が言ってたこと聞こえてたのかだと思うと同時にあぁ、面倒くさい。こう言うのには関わらないのが一番だっと思い、自分の事で喧嘩している二人をよそに、私は何も言わず、ただ馴染めないこの場で落ち着く場所もなくフェイタンの後ろで黙っている事にしていた。

そうするとこの前パクと呼ばれていた女性が、放って置いて座りましょうっと椅子に案内してくれた。
近くにはマチと呼ばれていた女性とこの前は見かけなかった服の男性がいた。

「どうした?座れば?」

私が何処に座ろうか迷っていると、男性が声をかけて来て、初めてこの前のオールバックの男の人だとわかった。髪型と服装でここまで雰囲気が変わるのかと感心しながら彼に勧められた席に座った。




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