飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


「悪りぃ、待たせたか」

ウボーギンは時間より少し早かったが、その場に全員が揃っているのを見て謝った。何時もは自分が一番につくのだが、思いのほか時間を取ってしまった。

「ちょっと、アンタ何連れてきてんの?」

マチはウボーギンの肩の上で虫の息になっている女を見ながらそう言ったが、ウボーギンの傷を見て、その女がかなり強かった事がわかった。
マチだけじゃなく、団長であるクロロやパクノダは少し驚いていた。

「貴方にそんな傷を負わせるなんてかなり強かったのね」

「そうなんだよ団長!この女かなり強くてよぉ」

パクノダの落ち着いた雰囲気とは反対にウボーギンは興奮しながらクロロにそう言った。

「欠番はないんだよ」

ウボーギンの言いたい事がわかったマチは先手を打つかのようにウボーギンに言った。それを聞きながらクロロは口元に手を当てて考え事をし出した。
マチは少し嫌な予感を感じてチラッとクロロを見ると少し興味を持ったような顔をしながら女を見ていた。それはほんの少しの変化だが、長年連れ添ったパクノダとマチにはわかる。

「とりあえず連れて帰ろう。」

「うぉしゃー、流石団長だぜ」

何が流石なのよっとマチとパクノダは思ったが、思いながらもこの流れになったら、何も言っても無駄だっと諦めて二人は、歩き始めたクロロの後ろをついて行く。

「シャル、こっちは終わった、アジトに戻る。そっちも早く終わらせろ」

「わかったこっちも始めるよ」

今回の展示会の品は一部が偽物でその本物はここから走って1日ほどの場所に保管されていると言うシャルの情報でフェイタン、シャル、フィンクスの3人はそっちの方に向かわせている。
要件を言うと直ぐに電話が切れた。それを合図に全員が走り出し、お宝を乗せたトラックに乗り込む。

「いてて、響くぜ」

女を担いでいるウボーギンがいつのもテンションはどこに行ったのか、小さくそんな言葉を漏らした。

「ウボーさんが痛いって珍しいね」

仕事が終わったからか、ウボーギンが女をトラックの荷台に宝と一緒に乗せるのをクロロはチラッとウボーギンを見ながら、少し幼さの残る少年のような声でそう言った。

「一撃目攻撃食らった後から攻撃される部分だけオーラが練れなくてよぉ」

「特質系の能力者か、武器の性質ね」

パクノダの言葉にウボーギンはんじゃ、特質系だな、血で攻撃してきてたからなっと呟いた。

クロロはそれを聞いて、強化系でもないのにウボーさんをここまで傷つけられ、何時も時間にうるさいウボーさんとかなりの時間戦っていた筈なその体力、そして恐らく手足を犠牲に生存を選んだ判断力に少し興味を持った。
そしてもう一つ、もしかしたら、あれを知っているかもしれないっと期待を寄せる。

「もしかしたら、お手柄かもしれない」

「は?この女になんの価値があるのさ」

あいも変わらず可愛げのないマチにクロロは苦笑いしながら、アジトに急ぐ。もし何か知っているなら殺すわけにいかなくなった。

「マチ、治療できる?」

「流石に折れた骨は治せないけど応急処置くらいならなんとかなる」

マチはチラッと女を見ながら、そのままでも死にはしないと思うっと言った。手や足はかなり破損していてあらぬ方向に曲がったりしているが、見た目ほど重症ではないことを意味している。

「マジかよ、本気だったのになぁ」

ビックバンまで使ったのによぉっと言ったウボーギンの言葉にその場にいた全員が驚いた。ウボーギンの傷にある程度強かった事は想像がついていたがウボーギンは遊ぶ癖があるし、そこまで本気でやったとは思ってなかったのだ。


prev next

bkm
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -