飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


「いまいち状況が掴めないんだけど、なんで此処にクロロがいるの?」

一週間前にクロロから当分仕事もないし二人でゆっくりすればいいと言われて、私とフェイタンは今までにないくらいゆったりとした時間を過ごしていた。今まで、二人でいたら、修行をするか、拷問されるか、そのフェイタンに苛められるかで、二人でゆっくり話をしながら過ごすという事がなかったからちょっとドギマギしながらも楽しい時間を過ごしていたのだが。

今から数時間前、フェイタンと少しイチャイチャしながら就寝した私達は、急に現れた気配に飛び起きた。
大抵は部屋に近づく前にフェイタンが気付くのだが、凄く近い位置に来るまで気が付かなかった事で焦って二人で攻撃すると、
カッターシャツに黒いズボンとラフな格好で床に不格好にクロロが倒れていた。

「それよりも、先にどうにかしてくれないか」

当たらないように攻撃を綺麗によけていたクロロだったが、少しでも動けば服や肌に傷がつきそうな位置にナイフが壁に刺さっている。これが盗賊の頭だとは思えないくらい不格好だけれど、困ったように笑うクロロは、盗賊だとは思わないくらいに幼く見える。

「かてに人の家に入る方が悪いね」

「この前飲もうって約束したじゃないか」

何時そんな約束したんだろうか。まぁ、普通の企業で言えば一応?クロロが上司になるわけだからフェイタンも上司には逆らえないのかなっとちょっと思いながらフェイタンを見てみると。とても部下が上司を見るような目じゃないなと思う。

「良いとは言たが、夜中に来ていいとは言てないね」

うん、だよね。それ言ってたらさ、起きて待ってるしさ。それに普通玄関から入ってきてチャイム鳴らすよね。

「いや、5日前から何回も行って良いかって聞いてたのに全部フェイが断るから」

「断られたのに来たわけか」

私がそう言うとクロロはそうなんだよ、ずっと断られてたから仕方なくねと私を納得させようとしているのかニコッと笑ったが、それでも夜中は、せめて起きてるであろう時間に来てくれっと思う。
しかし、このままにしておくのも可愛そうなので、壁に刺さったナイフを取りながら、忍び込むのは止めてよっと言ってクロロを見ると今度からは寝室に直接来るのはやめとくよっと返ってきた。そう言う事じゃないんだよね。

「ささと帰るね」

「いや、今来たところだし、折角だから」

この二人の関係は一体なんなんだろうか、普通に考えれば上司と部下だよね。でも盗賊に上司も部下もあるのかな。ないとしたら、同僚?仲間?
んー友達が一番しっくりくるけど、、、お母さんと子どもっていう感じにも見えるわ。っと思いながら一人で笑いそうになった。

「フェイタン、どうせ追い返してもまた来そうだし、ちょっとだけならいいんじゃない?」

「流石、リノン」

この人こんなに軽い人だったっけ?なんかもっと威厳のあるイメージだったんだけどなっと、私の中でのクロロのイメージが崩れていく。まぁ、なんだかんだバタバタしてたし、私は別に仕事仲間という訳じゃないからかなと思いながら、リビングに移動してお茶を入れようとお湯を沸かすために水を汲んでいたら。フェイタンがその手を掴んだ。

「たまには飲むのもいいね」

あぁ、そう言えばさっきクロロも飲もうって約束してたって言ってたな。フェイタンが棚からお酒の瓶を取り出した。
お酒か。スッゴイ久しぶりだなぁ。一応成人しているので飲めないことはないが、元の世界でもそんなに頻繁に飲む方じゃなかったので、そこまで強くはない。でも、たまぁに飲みたいなと思う事はある。

「リノンはこちにしとくね」

そう言ってフェイタンは私に可愛らしいデザインの缶を一本私に渡して、自分は瓶のお酒とグラスを持ってクロロのいるテーブルに持って行った。何私だけ除け者ですか?!確かにそんなに強いわけじゃないけど、そんな直ぐに酔ったりしないし。ちょっとくらい同じの飲ませてくれてもいいじゃない。


prev next

bkm
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -