飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


「フェイの野郎、相当惚れ込んでんだな」

ノブナガが走りながらそう言った。あの後、リシュアンがリノンを攫った可能性が低くなり、クローレを襲撃することに決めた8人は急いでクローレのアジトに向かった。距離的にアジトからよりも近く一日もかからないが、それでも少しでも早く向かいたかったのか、徐々に皆から離れて行った。
蜘蛛の中でも特段足の速いフェイタンにクロロとマチがついて行ったが、そのほかのメンツは追いつかなくなり別行動となった。

「夜がスゲーとか?」

「フィンクスそれ以上言ったら俺許さないよ」

あまりに下品な言い方にシャルがフィンクスに向かってアンテナを投げたがさらりとフィンクスが避ける。リノンは自分の好きとは違うだろうと言っていたが、少なくともシャルはリノンの事を好きだとは思っている。フェイタンがもしリノンを捨てるとしたら喜んで自分の物にするだろう。だけど、その反面リノンに傷ついて欲しくないと思うあたり、相当惚れ込んでるんだけどなっと誰に言うわけでも無く自分の心に飲み込んだ。

「まったく、これだから男は」

「お、俺はそんな事言ってないだろ!」

パクノダが呆れたように言ったのをウヴォーギンが慌てて否定したが、パクノダはチラッとウヴォーギンを見て同じようなもんよっと吐き捨てた。


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「えらく静かだな」

クロロとフェイタンとマチはクローレのアジトにやってきたが、そこは前にフェイタンが来た時には人の出入りが盛んだったはずなのに建物に入っても人一人として出てくる気配はない。可笑しすぎる。
普通なら、マフィアのアジトなら入り口に警備を立たせるだろうし、そうでなくても誰かが勝手に入ってきたら何人も人が出てきそうなものだ。

「少し嫌な予感がする」

クロロとフェイタンはマチの感は当たるからあまり、嫌なことを言わないでくれっと内心思いながら、細心の注意を払って各部屋を回っていく。
だが、どの部屋にも人はおらず、気配も感じないが、薄らと血の匂いが残っている。

「団長、あっちの部屋に降りれそうな場所があったんだけど」

そう言ったマチが罠かもしれないけどっと付け加え、フェイタンとクロロを連れて地下のあった部屋に入っていく。
部屋の中は普通のソファとテーブルがあったのだろうが、部屋の隅に押しやられていて、部屋の真ん中には床の板が外され階段が見えていた。

「わかりやすすぎて逆に怪しいな」

「行くしかないね」

まぁ、どちらにしても他に何も見つからないのなら行くしかないし、罠だと恐れて引き返すような奴なら旅団にはいないだろう。
クロロ達はフェイタンを筆頭に階段を下りて行った。

「フェイタン」

「何ね」

気持ちがはやるフェイタンをよそに冷静なクロロが不意にフェイタンに声をかけた。なんだかんだもう10年以上の付き合いで、初期メンバーのフェイタンはクロロの中では一番特別な存在と言っても過言ではないだろう。他のメンバーも大切なのには変わりはないが、フェイタンは自分が何度も通い詰めて口説き落としたのだから。底なしの闇のような目と自分以上に闇に染まった彼に一目で自分は欲しいと思ってしまった過去を思い出してしまう。

「連れ帰ったら一緒に飲みにいかいないか?」

「は?頭でも打たか?」

「俺も気になってな、フェイタンが惚れた女がどんなもんかもっと知りたくなった」

散々自分がいない間に連れまわしてただろうっとフェイタンは思ったが、他の奴がリノンに近づいた時の様に嫌悪感は無いし、3人で行くのなら別にかまわないかと思ってしまう。

「一度だけね」

「あぁ」





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