飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


「は?どういうことね」

ノブナガとフェイタンがアジトに着けば、本来フィンクスが護衛していたリノンが何処かに消えていなくなってしまったと告げられた。
本当なら今頃全員がアジトに集合し、スワンクロックを持ってクロロが探し当ててきた独立戦争が起き、恐らく異世界の扉―アナザーワールド―が隠されているであろう場所に向かう予定であった。
しかし、フェイタンとノブナガが帰ってくるまでの間、団員達は総出でリノンを探しており、アジトにはクロロとフィンクス、先程帰ってきたノブナガとフェイタンしかいなかった。

「悪ぃ、一瞬で気配が消えちまって」

「消えたぁ?連れ去られたんじゃねぇのかよ」

フィンクス曰くは、誰かに連れ去られた訳ではなく一瞬でリノンの気配が消えたという。それを聞いたノブナガは自分から出て行ったとかじゃねぇよなっとフェイタンの方をチラッと見やったが、フェイタンに一睨みされた後、まぁ、それはねぇかと呟く。

「フェイタン、悪いがこれ以上は日程を遅らせることはできない。」

「ワタシ一人で探すね」

「おぃ!フェイタン、それは蜘蛛よりアイツを優先するって事かよ!」

クロロの台詞から蜘蛛はリノンの捜索よりお宝を優先させることがわかったが、それに対してフェイタンは一人でもリノンを捜索すると言った。蜘蛛の意思よりリノンをとったという事だ。すなわちそれは、蜘蛛への裏切りに近い。長年コンビを組んできたフィンクスはフェイタンのその発言に驚愕する。
確かにフェイタンが今までにないほどにリノンに執着している事は知っていたし、ある程度フェイタンがリノンに対して人間らしく優しい対応をとっていて大切にしている事は解っていたが、フェイタンはみんなの中でも蜘蛛としての自覚がある方だと思っていた。

「そうね」

「おめぇ「やめろ、フィンクス。。。。はぁ、、フェイタン探すにしても情報が少なすぎる。」

喧嘩腰に威圧するフィンクスをクロロが制してそうフェイタンに言った。フェイタンとてクロロが言ったことを理解できていないわけではない。確かにしらみつぶしに探すと言っても何処へ消えたのか、誰かが連れ去ったのか、、、もしくは、、自分の戻るべき場所に帰ったのか。
っと思うと沸々と怒りが湧いてくる。自分の知らない間にまたアイツは自分から離れて行こうとするのかと考えると何度殺してやっても気が済まないと。。ただ、此処を出て行く前にリノン自身が自分を求めて離さないでと言っていたことを思い出し、自分から出て行ったという可能性は限りなく低いだろうっとも思う。

「天空競技場での襲撃と言い、恐らくだが今回の件に関係している可能性が高い。それなら闇雲に探すより、当初の目的を全うするほうが近道とは思わないか?」

確かにそうだ。現状の情報から察するに一瞬で消えたことからも一番可能性として高いのは、天空競技場で襲撃してきた青髪の男とパクノダ達を襲った銀髪の男のどちらかが攫った可能性が高い。どちらも移動の能力を使用していた。特にパクノダ達を襲撃した男は長距離の移動が可能である可能性が高いのだから。彼らの目的は定かではないが、どちらもあの異世界の扉に関係している事だけは明白だ。

「わかたね」

「決まりだな。2時間後には全員でトリナクリア島に向かう」

それを聞いて各々解散し始めた。フェイタンも部屋へ向かうために歩いていると、フィンクスが後ろからついてくる。仕事の時は大抵一緒に行動するが、基本お互いにある一定の距離感を大切につかず離れずの関係なので、こうして自由時間に着いてくるのは珍しい。

「なんね、部屋戻るよ」

「その、なんだ。さっきは悪かった。俺がちゃんと護衛できてなかったこと棚に上げて怒鳴ってよ」

「元々、此処に連れてきたワタシが間違てたね。家に鎖で繋いでたらよかたよ」

そう、仕事で1ヶ月以上家を空けるからと言ってリノンを家から出してしまったのが間違いだったのだ。失うくらいならば誰かに盗られないように閉じ込めておけばよかった。元々外に出せば碌なことが無い事くらいわかりきっていたのにと思う反面。たとえ自由があったとしてもリノンは自分に縛られている事が好きだという事に喜びを感じていた。リノンを喜ばせたい。優しくしたい。泣かせたくない。泣かせたい。傷着けたいし殺してやりたい。全てが、欲しいし、全て見たい。恋は、綺麗だと何処かの本で見たがそんなことは全て嘘だ。アイツを好きだと自覚してからこれまで以上に狂気的な何かが自分を突き動かすような感覚に陥る。

「あのさ、俺にも落ち度があるからよ。あんま苛めてやるなよ」

「関係ないね」

リノンが今この世界にいるのか無事なのかわからないが、二人はリノンが死んでいるとは思っていないし、帰ってこないとも思ってない。そう、自分たちが盗りかえせばいいだけの事なのだから。


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