飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


「リノンいる?」

不意にシャルの声が聞こえたが、ぐっすり眠っていたフェイタンは反応が遅れて隠す事を諦めた。

「ちょっ、、リノン」

呼ばれた主はフェイタンの腕の中で手足はもげて内臓も全て外に出ている。フェイタンは舌打ちしながら自分の服を被せてシャルと後ろにいるパクを睨んだ。

「何の用ね」

すこぶる機嫌の良かったフェイタンは、本当だったらブチ切れていただろうが、今は怒る気分ではないので、ノックもせずに入ってきたシャルに早く出て行けと言うように短く聞いた。

「今日、リノンと3人で仕事に行く予定なのよ」

「何も聞いてないね」

各自がどんな仕事でいないとかは特に皆んなに知らされているわけではないが、旅団でもないリノンが仕事について行くのも何故か疑問な上にリノンの事なのに自分が知らなかった事、誰も言わなかった事が腹立たしい。

「喧嘩してたから仕方ないだろ」

シャルはリノンの方を見ながらそう言った。フェイタンはそれを遮るようにシャルに近づいて、シャルは仕方ないとばかりに溜息をついて3人で部屋を出た。無言のまま3人は団長の部屋に向かう。フェイタンもそれをわかっているのか何も言わない。

「団長、ちょっといい?」

部屋の前でシャルがそう言うとあぁっと短い返事が返ってきたので3人で早に入ると団長は本を閉じて机に置いた。
入ってくる前にはわかっていただろうが団長はリノンがいない事とフェイタンが来たことに眉に皺を寄せた。

「俺はリノンを呼んだんだが」

「2、3日動けないね」

「殺されて来いとは言ってなかったんだけど」

団長はフェイタンが言った言葉でリノンが今生きていない事を察してそう言った。団長とパクはしばらく悩んだ末にきっと何か察したのだろう。

「リノンは、その事忘れてたのか」

「フェイタンの事でいっぱいいっぱいだったみたいだわ」

団長の質問にフェイタンではなくパクが答えて私もそこまでは見れてなかった。とリノンの記憶を覗いた時の事を思い出しながら言った。たが、本人にもあまり記憶のない事は覗いてもわからないのが難点だ。

「代わりにワタシが行くね」

昨日の今日で離れるのは嫌だが、行かせるよりかはまだマシだっとフェイタンは自分がリノンの代わりに行くと言い出した。団長は少し考えて

「急いでいるからな、仕方ない」

一体何を焦っているのかは分からないが、自分でもいいと言われて、それだったら初めからリノンを巻き込むなっと思ったが、流石にそこまでは言えないので黙って話を聞く。

「ミンボ共和国にある白鳥家の方へという本について調べてきて欲しい」

団長曰くは異世界への扉と名付けられたあの石と同じ人物が書いた本らしい。何かあの手帳の手掛かりがないか調べたいという事だ。可能なら獲ってこいと言ったがそれをリノンにさせようとしていたと言う事だろうか。団長はウボーと戦って生きていた上にフェイタンと知り合いだった事で何か勘違いしているのではないかとフェイタンは思った。

「わかたね、ワタシが留守の間リノンはアジトから外には出さないと約束するよ」

「フェイタン、何をそんなに心配してるんだ」

確かに普通に考えればたかが1週間だ。15歳の子供でも一人で留守番くらい出来そうなものだが、それでもフェイタンはリノンがいつか自分の側から居なくなってしまうのではないかと心配でたまらない。リノンが自分から離れたくないと思っている事がわかっても、それは変わらない。

「アイツは強いけど弱いね。盗みも殺しもした事なかたやつね。優しすぎるよ」

そう、自分とは違う。いくらフェイタンを受け入れて傷つけられることに慣れても人を傷つける事には慣れていない。フェイタンの側にいる為に必死で人を殺せたとしても、自分を守るために人を殺す事は難しいだろう。それがウボーの時にわかった。ウボーが受けていた傷は全て心臓や頭を避け致命傷にならない場所だった。

「だが、フェイタンと一緒にいたいならそれぐらい出来てもらわないと困るだろ」

「汚れて欲しくないね」

フェイタンがそう言うとクロロは困ったようにフェイタンがそれを望んでもリノンがそれを望むとは限らないよっと言った。


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