飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


今日の朝、昨日電話した番号じゃない番号から電話がかかってきて電話を取るとフェイタンから今日、フェイタンじゃない人がご飯を届けてくれるらしい、忙しいなら後1、2日ご飯なくても大丈夫だよっと言ったが、もう向かっているから受け取れと言われた。
ただ、それから5度ほど電話がきて、絶対にホテルの部屋からは出るなと言われ、ご飯もドアノブに掛けて置いて行ってくれるから近くに居なくなったのを確認してから取れっと何度も何度も同じ事を念押ししてくる。

−怖い人が来るのかな

あまりにもしつこいのでご飯を届けてくれる相手がどんな人なのか気になってくる。そんな事を考えながらお腹空いて念の修行も身が入らずベッドに横になっていると、眠気が襲ってくる。来てもドアを開けるなと言われているし、寝て起きたら鉢合うこともないだろうから寝ようと私は、一眠りする事にした。

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「意外に可愛い」

誰かの声に瞬時に意識が浮上して、戦闘態勢になるべくベッドから飛び起きると、相手は壁に服を私の血で作られた刃で縫いつけられていた。

−早いっ

本来であればこの前の男の様に自分でもわからぬままに相手を攻撃し、下手をすれば一撃で倒せるはずなのにもかかわらず、壁に背をつけて此方を見ている男には服以外の傷は見られない。
私は2撃目を出すべく、男の服に刺さっている血の一部を変形させた。

「待って待って!フェイタンから頼まれてご飯持ってきただけだから!」

そう言いながら彼はベッドのサイドテーブルを指差した。彼を貼り付けた状態のまま置かれている袋を見ると中には沢山の出来合いの料理が入っていた。フェイタンの名前も知っている様だし、私は彼を貼り付けていた血を元に戻した。そしてそこで気づく。

「怪我、、、怪我した!なんて事してくれるの?!」

「いやいや!先に戦闘態勢とったのそっちだよ!」

「誰もいないはずの部屋に誰かいたら驚くでしょう?!」

まるで私だけが悪いと言う彼にドアノブに掛けて置いてもらうってフェイタン言ってたから入ってくるとか思わないし!っと続け様にゆうと、彼は気になったんだからしょうがないとあっけらかんと言った。とりあえず怪我は腕の付近だったので半袖でも隠せそうではあるので、もーっと不貞腐れながらも何とかなるか彼は怒るのはやめた。
しばらく気まづい空気が流れる。

「食べないの?何も食べてないんでしょ?」

「食べるけど、、、」

ジッと見られると食べにくいのといつまで此処にいる気なんだろうかと思いながら、持って来てくれたご飯を食べる事にした。そういえば、フェイタンは扉は開けるなと言ったがドアは開けてないし、これはセーフなのかなっと考えながら黙々と食べていると、

「美味しい?」

「えっ、あっうん、あっ、ご飯ありがとう」

そういえば、ご飯を持って来てもらったのにお礼も言っていなかったっとお礼を言うと彼は照れた様に持って来ただけだから気にしないでっといった。何だ、とっても良い人だ。フェイタンの知り合いだからもっと残虐で鬼畜な人を想像していた私はちょっとホッとした様な残念な様な気持ちになる。

「あっ、俺はシャルナーク、よろしくね」

「私はリノン、ごめん、怒られるから握手はちょっと」

名乗って握手を求めて来たシャルナークにそう言いながら、フェイタンがこの前電話してた相手のシャルって人がシャルナークの事だった事に気づいた。この前の飛行機のチケットもシャルナークが取ってくれたのかなとか考えながらご飯を食べ終わる。

「フェイタン厳しすぎない?」

握手もダメ、出掛けるのもダメ、俺がご飯持ってくっていっても渋しご飯も2、3日食べさせない気だったなんてさぁっと続けて言ってくる。確かにフェイタンは、拷問するし、殺してくるし、機嫌が悪いと怖いけど、でも、それ以上に私を愛してくれていることがわかるし、たまに凄く優しいし。

「そんな事ないよ、この前だって欲しい服くれたし、私の事美しいって褒めてくれる時だってあるんだから」

私が誇らしげにそういうとシャルナークは、美しいより可愛いの方が似合うけど、あのフェイタンがねぇっと驚いた後ニヤニヤと笑いだした。そして携帯を取り出して何処かに連絡し出す。

「あっ、フェイタン、仕事終わるまで面倒見てるから安心して」

『ふざけた事言うんじゃないね!!!』

電話口でなくても私の方まで聞こえて来たフェイタンの声に驚きと同時に恐怖が襲ってくる。そしてこの男は何てことを言っているんだろうかと疑問になる。絶対に怒られる事は分かっているじゃないか。

「ん、まぁ、そういう事だから」

『ハッ?何も許可してないね!』

電話から聞こえるフェイタンはやっぱり怒っているのにそれも気にせず、電話を切ったのだ。さらに

「大丈夫、これで怒られるのは俺だし気にしなくても良いよ」

っと言って私に笑いかけた。いやいや、シャルナークさん貴方は怒ったフェイタンがいかに怖いか知らないんじゃないですかね。っと思いながらも唖然としすぎて言葉も出なかった。


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