飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


部屋から出るとマンションかホテルかと思っていたそこはホテルの跡地のようだった。確かにそこまで綺麗ではなかったがまさか他に住んでいる人も居なさそうな、廃墟だとは思いもよらなかった。
廃墟を出るとスラム街の様な薄暗い雰囲気が漂う街に出て、浮浪者の様な者が座っていたり、売女が客引をしていたりする。

「早く行くね」

キョロキョロと周りを見渡す私にフェイタンが付いてくる様に促す。私ははぐれない様にフェイの隣に並んで歩いた。
そこから何分か歩くとスラム街を抜けて高層ビルが並ぶ街に出た。

「シカゴみたい!」

「何ねそれ」

高層ビルが立ち並び海が近いのか潮の香りがする街に思わず言った私の言葉にフェイタンが問いかけてくる。大の大人がシカゴを知らないと言うのか、確かにアメリカの首都はニューヨークだが、それでも知らない人は少ないだろう。
ただ、前から少し思っていた。此処は私の知っている場所ではないと。
現にフェイタンが喋っている言葉は日本語であるが、街の至る所で見かける看板の文字は日本語でも英語でもないよくわからない文字だ。

「シカゴって言う街の名前、、、」

少し自分が住んでいた場所を思い出して、寂しくなりながら答えるとフェイタンはそれ以上聞いてこなかった。
そこから少し歩き、ながら色んな店を見て歩く、変わった服が並ぶ服屋さんや虫や動物の形をしたケータイが並ぶお店やブーツばかり置いている靴屋さんなど多種多様だ。
ただ、変な服を着た人ばかりなのかと思っていたが、Tシャツにジーパンと普通な人もいる。

何軒かのお店でメイド服の様な配色のワンピースに袖がフレアになってそこにベルトの様な物が巻きついた服が置いてあった。

−可愛い!

とっても好みだが、前の世界でこんな服を着ていたら確実にコスプレで普段着としては着れないだろうが、此処だったら全然普通に着れる気がする。
だけど、よく考えればお金のない私は欲しいとも言いにくくそのお店を後にした。

次の店も服屋で、さっきの店と違ってシックな感じだ。フェイタンは私がサラッと服を眺めているのを見ながら聞いてきた。

「気になるものはあたか?」

「えっ?あー、さっきのお店にあった黒と白のワンピースが」

私は一つ前に入ったお店で見たメイド服の様な配色のワンピースに袖がフレアになってそこにベルトの様な物が巻きついた服を思い出した。
少し丈が短めだったが中にパニュエがつけられていて広がるスカートが可愛くて印象的だった。
元の世界であればたとえ可愛いくても絶対着ないが、此処では皆変わった服を着てるし、浮くこともないと思うと何でも着れる。

「そうか、それだけか」

「うん、基本着れれば何でもいいし」

そう、ワンピースをよく着る私だが脱ぎ着が楽というだけで別にTシャツにパンツでも全然いいしこだわりも特にない。
可愛い服は1着あればお出掛けの際はそれで良いし、それに出掛けらる頻度もそんなに高くはないだろうから後は何でもいい。

「なら、帰るね」

「えっ、もう帰るの?」

確かに何軒かお店を回ったし、服も決まったけどまだ、その服も買ってないし、、、まぁ、私お金持ってないけど。でも、買わないとしても折角外に出たんだからもう少し色々見たいと思ってしまう。

「特に用も、、、あれも買いに行くか」

何かフェイタンが思いついた様に家?のある方とは違う方向に歩き始めたのでルンルンで付いていく。
賑わった街から少しそれて行き、薄暗い路地裏に出た。そこはあの家があったスラム街とは違い、薄暗いながらも色んなお店が立ち並んでいる。


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