飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛



「おい、イライラしやがってどうしたんだ」

今日は久しぶりの大きい仕事で前回ろくでもない石をとりに行って不完全燃焼だったウボーギンは生き生きとしていたがそれとは打って変わってフィンクスの隣に立っている相方はよほど不機嫌なのか禍々しいオーラを隠そうともせず垂れ流している。

「うるさいね、なんでもないよ」

いつもと変わらない返答だが、その雰囲気はいつも以上に鋭い。それと同様にいつもなら相手をいたぶるか血も被らぬように瞬殺する彼が、頭から血で染まって所々乾いた血が茶色く変色している。

フェイタンがあの部屋を出てから3日、彼は仕事の後アジトに戻る最中だった。

―チッ何も連絡よこさないとはいい度胸ね

そう、彼が苛立っていた理由は家に置いてきたリノンから一回も連絡が来ないことが原因だ。ただ、緊急時に連絡してこいと言ったことは覚えているし、それは特に問題なく過ごしているのだろうけど、それでも連絡が来ない事にイライラが募る。かといって此方から連絡するのは、それはそれで腹が立つ。なぜ自分が連絡しなければならないんだと。

―気持ち悪いね

自身についた血を見てフェイタンはそう思った。あの部屋でリノンの血を全身に浴びたときは凄まじい高揚感に満たされたものだ。それを思い出し自然と盛大に相手から噴き出た血を浴びていたが不快感しか感じない。

「女でも買いに行くか?」

フィンクスはいつも派手な戦闘後は自身が性欲にみちるのでフェイタンを落ち着かせる為にどうかと勧めてみた。彼の横顔をチラッと伺ってみると少しオーラがマシになりいつものような狂気に満ちた楽しそうに細められた目でククッという細い笑みがこぼれていた。
フィンクスはおっ、フェイタンもついに女に興味を持ったかと思ったが、

「やめとくね」
―そういえばあいつも女だたね

フェイタンは先程まで苛立っていた相手のことを考えてまた面白いことを思いつき幾分かイライラが晴れる。たまにはこの脳筋も良いこと言うなと視線をフィンクスに向けると残念そうに

「んだよ、たまには発散しねぇと使い物にならなくなるぜ」

「女もいるんだ下品なこと言うんじゃないよ」

フィンクスは近くを歩いていたマチにいさめられ、普通の女なんてここにはいねぃだろと呟いたがギロッと睨まれておとなしくなった。
マチはフィンクスを追い越してアジトに入っていった。
アジトの中につくと今回参加していたパクノダ、ウボーギン、団長と一足先についたマチが獲物の絵の横で酒を片手にこちらに振り向いた。

「おいおい、先に飲んでんのかよ」

フィンクスが少し小走りに皆に混ざりパクノダから酒を受け取る。フェイタンにも酒を渡してくる。

「やめとくよ」

「つれねぇな」

フィンクスが既に酒を煽りながらフェイタンにそう言ってパクノダの手から取った酒をフェイタンに差し向けるが、フェイタンはそれをとらずに団長の方へ向かっていった。

「今回の仕事はこれで終わりか」

「あぁ」

「ならワタシは帰るね」

団長は「あ、、あぁ」と少しタジタジで答えたら、フェイタンは一瞬でアジトから出て行った。。。

「フェイタンなんかおかしかったよね」

団長ことクロロはオールバックに似合わずキョトンとした表情で誰に聞いたのでもなくぽつりと呟くと。周りの団員は何も言わずコクンッと頷いて彼が消えて行った方向を少しの間眺めた。


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