(鷹とお姫様)

 ある森の中に、緑の羽が美しい小鳥のお姫様がいました。
 彼女はとても明るくて優しいので、森の鳥たちから人気がありました。
 色んな鳥たちの中でも特にお姫様のことを好きだったのは、お城を守っている鷹でした。

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 ある日、鷹は休憩中にお姫様と偶然出会いました。
 お姫様が近くにいることに鷹は驚いて緊張してしまい、なかなかお姫様に話しかけられません。
 しかし、そんな様子には気をとめず、お姫様は鷹に話しかけます。

「あなた、いつもお城を守ってくれている鷹さん?」

 鷹はしどろもどろになりながら、どうにかこうにか口を開きます。

「あ、え、その、いや、あの……」

 しかし何と返していいのか分からず、「あ」とか「え」とか同じことを繰り返し、ついには口ごもって何を言いたいのか分からなくなってしまいました。
 お姫様は心の中で「変な鳥」と思いましたが、ただ黙って鷹を見つめていました。

 その時、風がひときわ強く吹いて、小さくて軽いお姫様はその風に飛ばされてしまいました。

「きゃーっ」

 俯いて手をこまねいていた鷹はその声にはっと気づき、顔を上げました。
 見ると、先ほどまでそこにいたお姫様の姿がありません。鷹は大慌てで走り出します。

「お姫様ー、どこですかー」

 一生懸命声をはりあげ探しますが、一向にお姫様は見つかりません。空を飛んだり、はたまた森を歩いたり。鷹はとにかくあちこちを探します。

 すると、遠くの方から誰かの声が聞こえてきました。

「……けてー、誰かー、助けてー」
「これはお姫様の声だ!」

 鷹は急いでその声の方向へ飛びます。声は、だんだん大きくはっきりと聞こえてきます。

「助けて、おりられないよう」

 森の中でもひときわ高く伸びた木のてっぺんに小さなお姫様を見つけ、鷹は一直線にそこに向かいます。
 見ると、お姫様は綺麗な緑色の羽に怪我を負っていました。

「大丈夫ですか、お姫様」
「あなたは……」

 鷹が優しく声をかけると、目に涙をためながら、お姫様はきょとんとしました。まさか、鷹が助けに来てくれるとは思っていなかったのでしょう。
 鷹は自分の背にお姫様を乗せると、さっきお姫様を見付けた時よりも速く飛んでお城へと戻りました。
 お姫様はその間ずっと、鷹の真剣な表情を頬を赤らめて見つめていました。


鷹とお姫様
(此処から始まる、新しい気持ち)

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