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同一視。自分と同じと思えるからこそ、お前を痛めつける事に躊躇いなんてない。だが、自分と同じ、そう同じ髪色だからこそ、放っておけないんだ。
そんな一般人には理解しづらい持論を語る彼は現在、見るからにプロが使いそうな鋏を片手に鼻唄を奏でている。
紅い髪。時々、伊達なのではと疑いたくなる眼鏡。自称、狼なのに猫を思い起こさせる、猫耳のような愛くるしい髪型は誰がみたって、一目で彼なのだと解る。当たり前か。

「先生。ちょこっと、切るだけさ。」
「わかってるって。角刈りだろ。」
「何の為の猫耳さ!」
「え、同じ髪型がいいの?」

首を左右に振り、否定の意を示すとにかりと頬を緩め、彼は笑う。

「冗談だって。じゃあ、切るぞ。」

一定のリズムを鋏は刻む。その奏でる音の心地よさは、日頃の疲れと合わさり、眠りへと誘う。だが、彼のハプニング率の高さが異様であると先程、彼のこれまた可愛い助手から教えてもらったせいだろうか。寝てはならない、そんな意志が俺の眠りを妨げた。

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