青く青く澄み渡った空の下。旅を続けるサトシ達一行は、とある森を抜ける途中、昼食を取るために、ぽっかりと開けた地に腰をおろして、ひと休みをしていた。
「んんー、青々した草木に囲まれて、暖かで柔らかな日差しを浴び、ゆっくりランチをとる。…なんて爽やかでまろやかなテイストなんだ」
くるくるとお玉で円を描き、調理をするデントの後ろを、元気の有り余った様子のサトシが走り過ぎた。
「探検に行こうぜ、ピカチュウ」
「ピッカァ」
サトシとピカチュウが連れ立って木々の中に入ろうと足を踏み出した時、「あ、」とデントがサトシを振り返った。
「ご飯が出来る頃には帰って来るんだよー」
「分かってる!」
後ろからかかったデントの声に返事をして、一人と一匹は森の中に飛び込んだ。
「あんなに、せっかちにならなくてもいいのに。サトシって、ほんとに子供よねー」
木の上に座っていたアイリスはそう言って、先ほど取ってきたリンゴをしゃり、と齧った。隣でリンゴを抱えているキバコは、アイリスの言葉に意味もなく頷いて、同じようにリンゴに齧りついた。
ガサガサと草を踏みしめて、森の奥へ入っていく。大きな音を立てた瞬間、ピョイ、と草陰から飛び出し走り去って行ったのはシキジカだ。木の枝にはマメパト、根元には木を齧っているミネズミもいる。
クルミルが母親に新しいマントを作ってもらっているのを見つけて、こっそりそれを見ていると、どこかでパシャン、と水音がした。
「ん?」
何だろう。隣で耳をピクンと揺らしたピカチュウと、顔を見合わせた。
「聞こえたか?今の」
「ピィカ」
ピカチュウは頷いた。
ただの水音にしては大きな音だった。もしかしたら、あっちにも何かポケモンがいるかもしれない。
「行ってみよう」
「ピカチュウ」
クルミル達を刺激しないように、その場を静かに去って、音が聞こえてきた方へ歩いていく。耳の良いピカチュウの後ろについて行けば、少しして湖のほとりにたどり着いた。湖を見渡すが、ポケモンの姿は見えない。
あれ?何もいない。そう思った時、また聞こえたパシャンという水音。真横にあった木から覗くように頭をずらすと、木が視界をさえぎっていたその向こうに、女の子がいた。
「まろーん」
あれは、オタマロだ。湖から顔を出して、女の子が差し出す手に、嬉しそうに擦り寄っている。
いや、それだけじゃない。目をこらすまでもなく、たくさんのオタマロやバスラオ、スワンナが岸に近い水面に集まり、コアルヒーとヒヤップが女の子に寄り添うようにしているのが見えた。水タイプの様々なポケモン達が彼女を囲って、その誰もが嬉しそうにしている。女の子も、穏やか表情とすべてを受け入れるような暖かな目でポケモン達を見ていて。
思わず魅入ってしまうほどに、暖かで素敵だと思った。
水ポケモンに愛されている子を書きたかった^^
草タイプとかドラゴンタイプとか、他のでもいいなと思うけど、なんとなく今回は水で。
中途半端だけど、とりあえず妄想を吐き出せたので満足。