私とイーブイ率いるもふり隊は、カントー地方のとある場所にある、たくさんの炎ポケモンと暮らしている村を訪れていた。
のどかな田舎の景色の中に、ぽつぽつと存在するポケモンたち。
村の中を見て回る許可をもらった後、イーブイとともに道を闊歩しながら、満面の笑みを貼りつけて辺りを見回す。

「うっわー!イーブイすごいね!もっふもふだ!」
「ぶいぶい!」

視線の先にはキラキラとした美しい毛を持つキュウコン、それにまとわりつくように甘えている赤毛のロコンが数匹。
ころころと遊び転げまわるその姿だけでも、とてつなく愛らしいのに、加えてあのもふもふ。くるりとカールした頭の毛と、ふりふりふられている尻尾。個体によって尾の本数が違うものの、少ない数のものはしなやかに細かく多彩な動きを見せ、多い数のものは毛の量も相成ってやわらかな扇のようで、どれをとってもすばらしい。
一方その進化形であるほうは、丸っぽくもこっとした印象を抱くロコンの毛並みとは違い、流れるような艶やかさと手触りを感じさせ、けれどももっふりとした柔らかさを持っているだろうことが見ただけでもわかる。
思わずよだれが垂れてしまいそうなくらい口角をあげて口を開き、食い入るように緑の上でたわむれる狐たちを眺めた。
と、ふくらはぎをやわらかいものに小突かれ、下を向く。
イーブイかと思って見たところには、オレンジ色とクリーム色の毛を持った子がいて、こちらの様子をうかがっていた。
ガーディ、だ……!
そろりと右手をおろすと、すんすんと手のにおいを嗅がれた。手に対しておびえた様子がなかったのをいいことに、ゆっくりと手のひらを動かして口まわりのもっふりとした毛をやわく掴みなでる。これに対してもガーディは受け入れの姿勢を見せたので、よしきたとばかりに屈んで、両手をもって顔中をなでまわす。
イーブイよりもしっかりと厚みのある毛。くしゃりともめば、しっかりとした弾力が返ってくる。これが、ガーディの毛並みか……!
心の中で、やばいすごいこれが天国かと歓喜の声をあげながら、これでもかというくらいになでくり回した。
しかし、天国はこれで終わりではなかった。
自身に影がかかったのを感じて上を見ると、今度はそこに大きなガーディがいた。体格増量、毛量も大幅に割増した、進化形のウインディである。
すらりとしたキュウコンとは一転して、顔からすでにたっぷりとした毛で覆われている、まるで毛玉のようなその姿。
ふらり、と熱に浮かされたように立ち上がり、ふわふわとした足取りでウインディに近付く。目の前で立ち止まり、至近距離でじっと毛並みを見つめること数秒。倒れるようにしてその豊満な胸毛に顔から突っ込んだ。

「もっふもふ!もっふもふっ!」

上半身をクリーム色の毛に埋もれさせ、小さく跳ねてすりすりと頬ずりしながら声をあげる。
なんだこれなんだこれ!ほんのちょっぴりチクチクするけどでもやわらかくて、ガーディよりもこしがあるけどでもやわらかくて、やわらかい!
擬音に変えるならガーディは「もふん」、ウインディは「もっふ」だろうか。
そして、炎タイプということもあってか、厚い毛の上からでもほんのりとした熱を感じる。これは、雪の積もる季節になれば、とても重宝するだろう。

「イーブイ!ウインディすごいよ!」

近くにいるであろう相棒に声をかける。しかし、返事がない。
不思議に思って、ウインディに引っ付いたまま頭だけ捻って後ろを向くが、イーブイの姿は見当たらなかった。
どこ行ったんだろう。いつもなら一緒にもふもふしているはずなのに。
ウインディの後ろの方にいるのかと覗いたけれど、そこにもいなかった。いなかったが、とってもボリューミーな尻尾がそこにあった。

「しっぽー!」

埋もれていた胸毛から体を離し、ウインディの後ろに回って、ゆったりと揺れる尻尾に飛びつく。両手をまわしてようやく抱えきれた尾の、なんと大きなことか。
ウインディってすごい。
両腕の中で生き物のように動く尻尾を感じていると、背後からイーブイの声がかかった。

「ぶいぶい!」
「イーブイどこにいってたの?ね、見て見てこの尻尾!すっごくボリューミー!」
「ぶーい」
「イーブイの胸毛と尻尾は私の一押しだけど、ウインディって、なんていうか、ザ・もふもふって感じがするよ……!」
「ぶーい!ぶい!」
「んん?なあに?」

どうやら呼んでいるらしいと気付き、会話の最中もずっと埋もれていた尻尾から顔を上げる。
そして振り向くと、どや顔をしたイーブイがいて、その隣にはイーブイに似た姿を持つ、赤いブースターがちょこんと座っていた。

「うわー!ブースターじゃない!ねえイーブイこの子どうしたの?もしかして私のために連れてきてくれたの?」
「ぶい!」

そうだよとばかりにうなずいて見せたイーブイに思わず駆け寄り、わしゃわしゃと頭をなでた。

「さすがイーブイ私の相棒!そしてもふり隊の副隊長!えらい!」

敬意を表してビシッと敬礼すると、それにならってイーブイは背筋をまっすぐにのばし、ピッと尻尾を一振りした。



―――――――――

今回は、以前のもふもふポケモンアンケートで上位四位に入った、ウインディ、キュウコン、イーブイ、ブースター、でお送りしました!
ちなみにこのブースターくんはこの後、もふり隊に加入しました。





ほこほこあったか、もふり隊!
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