夢はポケモンマスター。トップコーディネーター。ブリーダー。研究者。ジョーイさん。ジュンサーさん。はたまた、ケーキ屋さん、お花屋さん。と、様々なものがあるだろう。人の数だけ夢があり、その内容も様々だ。
うちの両親は二人でブリーダーをやっている。強い子を育てることで有名だからか、ガタイのいい子やどっしりとした子ばかりが家に預けられ、幼い頃より私はそんなポケモン達に囲まれて暮らしてきた。それが当たり前であったし、将来に関してもこのまま両親を手伝って、いずれはブリーダーになるものだと何の疑問もなく思っていた。だからポケモンスクールに行かなかったし、住んでいるところがド田舎なので、遊ぶと言ってもその辺で駆け回るだけだったから、それよりもポケモンに触っている方が好きな私は家の敷地内からほとんど出たことがなかった。
そんなある日、十歳の旅立ちの日なんて、とうの昔にスルーしていた私は、父の知り合いからイーブイをもらった。その姿を見た時、私は雷に打たれたかのような衝撃を受けた。
この世界には、これほどまでに素敵なもふもふをもつポケモンがいるのかと。私が知ったつもりになっていた世界は、もっともっと広いのだと。
そうして私は夢を持った。

「世界中のもふもふポケモンをもふってやるー!」
「ぶいっ」

今日は旅立ちの日。イーブイと私は、もふり隊を結成した。
夢は、世界中を旅してもふもふポケモン達をもふること。そしていつか、世界一のもふもふ感を持つポケモンを探し出してみせるのだ。

「まずはカントーを制覇しなくちゃね」
「ぶいぶい」

私の家はマサラタウン。ドドドド田舎だ。そこから私達の旅は始まる。カントーから始まり、ジョウト、ホウエン、シンオウ、イッシュ、全ての地方を巡る。

「まさかおまえが旅に出るとはなあ」
「あらお父さん、まだそんなこと言ってるの?もう名前は旅に出ちゃうのよ?」
「あはは、お土産楽しみにしててよお父さん」
「ぶーい」
「イーブイ、今日は一段ときれいな毛並みしてるわね」
「でしょでしょー!記念すべき旅立ちの日だからね!」
「ぶい!」

誇らしそうに胸を張るイーブイの毛並みはつやつや、且つもふもふだ。それは私がいつも丹精こめて行うブラッシングによるもの。そしてそのもふもふ感を最大限に引き出す両親譲りのブラッシングの腕前は、完璧なのである。
お父さんは、ふ、と笑った。私もにっこりして返す。

「気を付けろよ」
「うん、お父さん」
「イーブイ、名前が困った時は、助けてあげてね」
「ぶい!」
「名前も、何かあったらいつでも電話してきなさいね」
「ありがと、お母さん」

長年暮らしてきた家と両親に背を向ける。

「いってきます!」



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続く、かも?





あなたと私、もふり隊!
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