▼ セイン
「……花、嫁?」
今こいつ、花嫁って言ったよね。あの青い髪の活発そうな女の子が花嫁って、言ったよね。確かに言ったよね。じゃあ何、あたしは何?え、一応彼女だった、よね?違うの?…じゃあ、何、
「…あたしは何なのよ、セイン…何、捨てられたの?振られたの?」
「あ、」
「それとも、暇つぶし役のただの人間?遊ばれてたわ、け?」
「ちょ、ちょっと待て違うんだ!これはその、」
「し、らない!セインの馬鹿!勝手にお嫁さん貰えばいいじゃないっ、どうせ私は遊びだったんっ、でしょ…!」
じわ、と涙がこぼれる。目の前の天使はきっと、遊びにも気づかずに彼女だなんて自惚れるあたしを見て、笑ってたに違いない。悲しくて悔しくて仕方ない。
必死で涙を堪えようとしている時、呆然としていた花嫁の女の子が口を開き、「こんの、アホ!」…セインを怒鳴りつけた。
「アンタ彼女いるのにウチ連れてきてどうすんねん!彼女泣かすほど傷つけるなんて最低や!恥を知らんかい!」
まさしく怒涛の勢いである。凄まじい勢いでセインを非難し罵る罵る。この子、花嫁じゃないの…?
「貴女、花嫁なのに…なのに、あたしの為に…?」
「ウチにはもう心に決めたダーリンがおるんや。花嫁なんてもんになる気、これっぽっちもないで。それに、ウチはいつだって女子の味方や」
「、っえ、」
「アンタもこんなタラシ野郎ほっとけほっとけ!アンタかわいいしもっといい人見つかるって、な?よければ相談のるで?」
「……!ぅ、ふぇ、…うわぁぁぁん!」
「よしよし、とりあえず行こか?部屋ある?」
全力で首を縦に振る。なんていい人。この人のおかげで立ち直れそうだ。今回この人はいろいろ違うみたいだけど、いつまた同じようなことがあるかわからない。そうよ、セインなんて浮気者知らない!馬鹿!
「ちょ、ま、だから誤解だ、」
「お前は黙りぃ」
「うぐぅ…!」
++++
へたれセイン…?リカがいい人なのかどうか
激しく矛盾してるのに誤解し続ける彼女になった
10/11/24