▼ フィディオ
「嘘つき」
「ごめん」
「やだよ」
「ごめんってば」
「もう嫌」
許したって、どうせまた繰り返す。また違う人と歩いてから、私に会いに来るんでしょう。貴方自身のものでなく、私のでもない甘い香を纏って微笑むんでしょう。
「どうしたら許してくれる?」
「無理よ」
「頼むから」
「無理。もう、嫌なの」
待っていたよ、私。何度となく繰り返しても、次こそはと信じて許して。でも、時に呼びかけ、私から近づいても、貴方は来なかった。私がいてほしいと思っても、貴方は誰かと歩いていた。
もう、待つのは嫌。私だって歩きたい。例え貴方が居なくても。
「終わりにしよっか」
「嫌だ、ねぇ、待ってよ」
「私、散々待ったよ。待つのはもう疲れたの」
「本当にもうしないから、」
「嘘つきは信じられないわ」
「君が一番好きなんだ」
「ありがとう。さよなら」
今更だけど、貴方の携帯のディスプレイはさっきから明るいね。表示されてる名前は当然知らないものだけれど。
まったく。この、浮気者。
++++
久々だ…
11/06/28