バレンタイン当日part1


――とうとう、決戦の日がやって来た。


私は朝の4時に起きて(マダラ先生の事を妄想してたら寝れなかった)、髪をいつも以上に綺麗に整えて、昨晩サソリに教わった通りに作ったチョコレートを可愛いラッピング用紙に包んで……そして、マダラ先生に向けての今世紀最大の愛の言葉が書かれた手紙(合計5枚分)を添えて、決戦の地へと向かっていた。



――AM 7時45分



私はマダラ先生が毎朝車をとめている駐車場に向かい、近くの自動販売機に隠れていた。


(……フフフ…マダラ先生早く来ないかな……)


すると、一台の黒い車が駐車場に入って行ったのを目撃して、私は目を凝らしながら運転席を見てみると……マダラ先生が煙草を吹かしながら、運転をしていた!!


私はニヤニヤしながら、入り口に立って、マダラ先生を待っていると……


「おっはようございます〜! 彩ちゃんっ!」


「ひぃぃっ……!?」



いきなり耳元で誰かが叫んだから、私は驚いて肩をビクッとさせていると、トビが私の手の上にあるマダラ先生へのチョコレートを奪って、まじまじと見つめる。



「コレ、マダラ先生にあげるんスか?」


「うん!そうだよ!だから、早く返して!」


「あんなオッサンにあげるより、僕の方がいいっスよ!てことで、僕がいただきまーす!」


「ちょっと……!トビ、やめてよ……!」



トビは私が届かない位までの高さにチョコレートをチラつかせるから、私は頑張ってジャンプするけど、中々とれない…



「おい、朝から此処で何をしている」


「あっ…!マダラ先生……!」



私とトビの目の前にマダラ先生がやって来て、機嫌が悪そうな顔で私達を見つめていた。
だけど、今がチョコレートを渡す時……!
早く渡さなくちゃ……!


「マダラ先生、実は私 「先生〜彩ちゃんったら、朝から僕に愛の告白してきたんスよ〜!モテる男は辛いっすねっ!」 ……」

「フン、下らん。お前ら遅刻するなよ……」


「えっ……!? ちょっと……待って下さい!」



マダラ先生は私を無視して、颯爽とした姿で学校へと向かっていた。



「ちょっと!!トビ、ふざけないでよ!!」


「いいじゃないっスか〜実際、僕の方があんな人より彩ちゃんを幸せにできるっスよ」


「私はマダラ先生が好きなの!マダラ先生以外には興味がな い の!!」



私は語尾を強調させてトビに言って、チョコレートを取り返そうとすると、いきなりトビに肩を思いっきり掴まれてしまった。



「な、何よ……」


「……あんなジジイより、オレにしとけ」



いきなりトビの口調が変わったから、私は驚いて息を飲み、胸をドキドキさせながら見つめていると……



「なーんてね〜! 冗談っスよ! どう?ドキドキしたっスか?」


「…ていうか、前にもそんな口調で…… 「女の子って、男がこういう口調にすると直ぐに引っ掛かるんスよね〜!」 」



トビは私にチョコレートを返すと、私の頭をポンポンさせながら、ケラケラと笑っていた。



「でも、彩ちゃんは全然引っ掛からないっスね。僕の必殺技だったのに〜」

「俺様口調なら、マダラ先生で十分だから!マダラ先生以外の俺様口調とか認めないし」


「うわぁ……彩ちゃん、かなりマダラ信者になってるッスね……」


「ウフフ…照れるなぁ……」



という感じで、私はマダラ先生にチョコレートを朝一番に渡しそびれたのだった。



――学校到着



「小南っ! 今日はオレに渡す物があるだろう! さぁ、この教卓の上に置くんだ!」



と、朝から我がクラスの学級委員長が黒板の前(皆の前)で、盛大に小南に告白(?)をしていた。



「ペイン、貴方、頭大丈夫? 私が貴方に何を渡すの?」


「分かるだろ!オレとお前の仲じゃあないか!」


「じゃあって、のばさないで。言い方が気持ち悪い」

「ちょっ……小南!オレを無視するつもりなのかっ!? おい…!」



小南は私の席にやって来て、「おはよう」と挨拶をして、私に綺麗にラッピングされたチョコレートを渡した。


「わぁ…!綺麗!ありがとう!!私からもあげるね」

「彩のチョコレート、可愛いわね。あれから上手く作れるようになった?」

「うん!バッチリ!」


「…それから……マダラ先生に渡せた?」


「ううん…トビに邪魔されちゃって……いつ、渡そうか悩んでるんだ……」


「そうね…放課後とか、よさそうじゃない?」


「だよね…!時間もたっぷりあるから、マダラ先生に告白する時間もとれそう!」


「……彩って、本当にマダラ先生の事が好きなのね。」



私と小南が会話をしていると、いきなりデイダラが私の席にやって来て、手を机の上にドンっと置いた。



「彩!! お、おはよう!!うん!!」


「お、おはよう……朝から元気だね、デイダラ……」

「オイラに渡す物とかないか?うん!」


「あんたまで、ペインと同じ手口で…呆れちゃうわね」


「おっ!そうだ!デイダラにチョコ渡さなくちゃ!はい、義理チョコ!」


「おう!(義理チョコ…か…うん…)」



私はデイダラにチョコを渡すと、席を離れて窓際にいるサソリの元にチョコを渡しに向かった。



「サソリ、おはよう!」


「……奴に渡せたのか?」

「いや、まだなんだ…でも、計画は十分に練ってあるから!それよりも、はい!チョコレート!」


「オレは食わねぇって言ってんだろ」


「美味しいから、大丈夫だよ! ほら、食べてみてよ!」


「まぁ、食ってやってもいいが…」



と言って、サソリは私からチョコレートを受け取ると、デイダラが凄い形相で私の元にやって来た。



「ちょっ!旦那!何で、彩からチョコもらってんだよ!うん!」


「うるせぇな…、朝から盛るな童貞」


「う、うるせぇ!彩のチョコはオイラだけのものだ!うん!」


「デイダラ…そんなに美味しかった?マダラ先生も喜んでくれるかな…?」


「哀れだな、デイダラ…」


私がマダラ先生を頭に思い描いていると、いつの間にかデイダラが横で泣いていた。
私はよく分からず、二人のもとから席を離れて廊下を歩いていると、数名の女の子達がマダラ先生を取り囲んでいるのを目撃した。



(あれは…高3生……!やっぱり、マダラ先生はモテるんだ!)



私は咄嗟にドアに隠れて、マダラ先生とその女の集団を見ていると……



「やはり、叔父様は凄いな。あの年で、あそこまで人気だとはな……」


「……!」



私は驚いて、振り返ってみると、イタチがチョコレートをもぐもぐ食べながら、私の背後に忍び寄っていた。



「……マダラ先生って、先輩達にモテるの?」


「まぁ、そうだな。叔父様は高3生の女生徒から熱い支持を受けているようだ」


「ふーん……やっぱり、ライバルは多そうね!ていうか、沢山チョコレートを抱えているようだけど…イタチもモテモテだね」

「そうなのか?まぁ、今年は例年と同じく大豊作だった」



すると、その時…ある一人の女生徒がマダラ先生に言い寄り始めて、「私、就職先はマダラ先生のお家にしよっかなぁ〜(ハート)」と爆弾発言をかまし、ベタベタと触っていた。



「ふ、ふざけるな!ていうか、マダラ先生に触れるな!くそったれ!」


「彩…爪がドアにめり込んでるぞ」



私は歯をギリギリさせながら、マダラ先生とその女の集団を見つめていると、あるもう一人の女生徒がマダラ先生に可愛く、且つ豪華に(認めたくないけど)ラッピングされたチョコレートを渡していた。



「なっ……!私より、先にっ!」


「……叔父様も、まだまだ現役だな」



すると、マダラ先生は…


『すまないが、オレは手作りの物は受け取らない主義でな…』



と、女生徒に言っていた。


「うっそおおぉ!!!サソリと同じとかあああ!ぎゃああああ!」


「おい、彩、落ち着け…ドアが壊れる……」



私は、フラッとして床にへたり込むと、心を落ち着かせて、再び立ち上がった。



……いいえ!まだ、諦めちゃだめよ……!マダラ先生は私のチョコを受け取ってくれるはず!!!


と、私は心の中で誓い、拳を握りしめて教室へと戻って行った。


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