第十一話

オレはいつも通りに広間に行った。
すると、先にイズナが来ていたようだ。


「おはよう、兄さん。」


「ああ、今日は早いな。」

「兄さんと違って修業してたからさ。」


「……フン…まあな、戦が近づいてきたからな。オレも今日から修業する。」

オレは自分の食事が並べられた所へ向かい、座布団の上に座った。


「兄さん、修業もいいけど姉さんに優しく接してあげてね…」


「……煩い。」


すると、廊下から賑やかな喋り声が聞こえる。
…この声は加代と小夜の声だな…
オレの読み通りだな。
やはり、加代を小夜の女中にしておいて正解だった……


「おはようございます!」

「……おはよう、イズナさん………マダラ。」


小夜は加代と共にやって来てはオレ達に挨拶をした。
最後の部分は中々聞き辛かったが…


「ふん……聞こえないな。お前は挨拶もまともにできないのか。」


「なんですって!?」


「まあまあ、よしなよ。二人とも…」


小夜はオレを睨み付けながら座った。


「お義父様は?」


「お前が寝ている間に、次の戦に向けて偵察に行った。そんなことも知らないのか。」


……まただ。なんでこんな事を口走ってしまうのだろうか……


「……!すみませんでした。これから気をつけるわ!」

小夜はそう言って、そっぽを向く。
でも、そんな行動に可愛いなと思ってしまう。

……今日もなかなか綺麗な着物をきて髪も美しく、誠に愛らしい…


素直になれない自分がもどかしい。
イズナの様に気の利いた言葉すらかけてやれない……
戦以上に難しいな…


オレは朝飯を口に入れながら、つくづく思う。


「……小夜。明日から戦に向けて忙しくなる。お前に構ってやれる時間は少ない…すまないな……」

オレは考え抜いた言葉を小夜に向けて言ってみた。


「ふん!別に貴方に構ってもらわなくても、結構です。」


小夜はそう言って、飯を口に入れる。
イズナはチラチラと此方を見る…
オレは言い返したかったが、こらえた。


「……そうか。」


小夜はさっさと食事を済ませたようだった。
そして、茶を運んできた加代を呼び止める。


「加代、あなた用事を済ませたら私と遊ばない?私ね、ここに来てから退屈でしょうがないのよ…」


そう言って、小夜はオレをちらっと見る。
……なんだ、構ってもらいたいのか。わけが分からん奴だな…


「はい!分かりました!」

「嬉しいわ!楽しみにしているわね。」


「はい!」


オレは小夜が加代とうまくやっていけている様で良かったと思った。





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