体を刺すような冷たい風が辺りに流れる。
夕焼けに染まった大地を歩み、オレは戦場へと向かった。
戦場では、彼奴が既に待っていることだろう。

彼奴はオレに休戦協定を持ち出して来たのだ。また、オレを諭すように休戦を持ち掛けるに違いない‥‥…



オレは書状の通りに、柱間に指定された場所に着くと、奴も既にこの場所にいた。

奴の隣にいる扉間を見るたびに、憎しみが増す…。

こいつのせいで……イズナは……



「……イズナはどうした」


扉間がそう言った瞬間、オレは憎しみが更に増して万華鏡写輪眼を発動させる。



「この前の傷が元で弟は死んだ…。うちはを守るためにオレに力を残して」


「休戦協定の書状を送った筈だ! うちはを守るなら、もうこんな戦いはやめようぞ」



……その時、オレは小夜の言葉を思い出した。



『私は…二度と悲劇を生まないためにも…休戦協定を受け入れるべきだと思うのよ』


小夜の言葉と柱間の言葉が重なり、オレは頭の何処かが切れたような激しい感情が押し寄せた。

こいつらにオレの何が分かる?


信じてきた者達に裏切られ……唯一無二の弟を失ったオレの気持ちが……。


弟がいるお前に……


何が分かると言うんだ!?


「柱間ァ!」



オレは術を発動させ、戦闘体制に入ると、柱間も木遁を使い、大地に木の枝を張り巡らせる。

やはり、奴の術の規模は大きい。
花粉の粉が辺りに充満し、体を刺すような痛みを感じる。



「くっ…花粉の毒か…」


「やめろ、マダラ! 戦は無意味だ…!」


「無意味だと……? だったら、何故イズナは死んだ…。…貴様達が殺したからだ!!」



完成体須佐能乎を発動させ、周りに立ち込める花粉を払拭させた。


そして、オレは柱間に向けて刃を向け、一歩ずつ奴の元へと歩む。



「マダラ…オレたちは友達だった…… そして、同じ夢を見た!」



まだ、こいつは…このような戯れ言を抜かすのか。


お前は…戦をして、何も学んでいないようだな。

オレは、あの頃とは違う。

餓鬼の頃に夢見た、戯れ言は……所詮、ただの絵空事だったのだ。



「柱間…いつまで餓鬼のような事を言っている!」



仲間のためも…オレに残された道は…


貴様を殺すことに他ならないのだ。



「腑を見せ合うことなんてできやしないのさ!」



互いの拳を交え、先程まで生い茂っていた木の根が吹っ飛び、大地がえぐれるように変わっていく。

オレは全力で奴に立ち向かった。

もう引き返す事など、できやしない……

オレは戦い続けなければ、ならないのだ。



死んだ仲間や……

イズナのためにも……



オレは千手に勝たねばならんのだ……


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