オレは朝から鷹狩りに向けて準備をしていた。
久しぶりにするものだから、小道具等の手間が少しかかった。
すると、イズナが此方にやって来た。
「兄さん、本当にオレも行っていいの?……二人で行った方がいいと思うけど……」
「……ああ、構わん。あいつと二人になると揉めるからな……」
「……そう…。」
イズナは黙って、小屋に行ってしまった。
オレは今でも二人で行きたいと思っていたが、それをイズナに正直に言えなかった。
オレも小屋に向かい、鷹を外に出した。
元気の良い鷹で、これはかなりの獣を狩ることができるなと自信を持った。
すると、小夜が此方に歩いてやって来た。
今日は髪をおろさず、結っていた。
普段とは異なる姿にみとれていると、小夜が鷹を見ては驚いていた。
「わぁ…大きい…!…鷹をこんなに間近で見たことがなかったから、驚いたわ!」
「……そうか。……持ってみるか?」
「いいの?」
「ああ。」
オレは小夜の腕に少し布を巻き、鷹をのせた。
「……きゃっ!……こんなに重いのね。……ああっ!そんなに暴れないでよ!」
鷹は小夜の腕の上で羽をばたつかせて、暴れていた。
そんな姿に思わず、笑ってしまった。
「笑わないでよ!こっちは大変なのよ!」
「…フン…よっぽどお前が嫌いらしいな。」
「うるさいわね!」
オレは小夜の腕から鷹を離し、小さな籠に入れておいた。
一段落して、小夜をふと見てみると、髪を結っているせいで露になった小夜の首筋にオレは見入ってしまった。
普段は少し幼い小夜が今日は色っぽく見えた。
思わず小夜の首に触れると、小夜が驚いた表情で此方に振り向いた
「……なに?触らないでよ。」
「……今日は……少し色っぽいな…。お前らしくもない……。」
「変な事を言わないでよ!ふん!」
そう言って小夜は近くにいるイズナのもとに走って行ってしまった。
すると、加代が手に弁当を持って小夜やイズナのもとに向かう。
「兄さん、準備できたよ!」
「ああ。……今行く。」
オレは小夜たちのもとに歩み寄り、いつもイズナと鷹狩りをしている山へと屋敷をあとにした。