突然の訪問者1


マダラは店で口説いた例の女の肩を抱きながら、店を出る。



「マダラ様、またいらしてくださいね!」


「またのご来店お待ちしております!」



女達は店から去ろうとするマダラに次々と話しかける。



「……また今度な」



マダラが一言言う度に黄色い歓声が出る。
そんな姿を横目にオビトは携帯を取り出す。



「……その女、持ち帰るんだろ?」


「まぁな。」


「……その車を使え。……オレは他の車を使う」


「………フン…」



マダラは女を連れながら車に乗り、自宅へと向かう。

車内では女がマダラに寄り添うように座っている。



「マダラさんって煙草好きなのね」


「……葉巻も好きだがな」

「そうなんですか?葉巻を吸ってるマダラさん見たいです」


「……ベッドの上でのお楽しみだな」


「やっだぁ!マダラさんったら!」



マダラは悠々と女の肩を抱き、時節東京の歓楽街を見ながら煙草を吸っていた。

ここらの区域は既にマダラのシマになっていた。
そんな夜の東京を見て、マダラはより自分が誇らしく思えるのだった。



車は騒がしい歓楽街を抜けて、ひっそりとした高級住宅街へと向かう。

沢山の高層マンションが建ち並ぶ中、一際高級感のある、まるでホテルのようなマンションがあった。


マダラを乗せた車はそのマンションの前に止まる。
そして、マダラは外に出て女を連れがらマンションの玄関口へと歩む。



………すると、一人の小さな少女がマダラの元に向かって走って来た。




「パパ!!」



少女はマダラの足に抱きつき、喜んでいる様子だ。

マダラは驚き、中々声が出なかったが女がいる手前だからか、冷静に振るまい少女に話し掛ける。


「……なんだ、お前は」


「わたしの名前は結っていうの。パパに会いに来たの!」


「オレに娘はおらん、さっさとどこか行け」


「パパ、ひどい!!だって、ママがパパはこの写真の人だって……あと、ママがこの紙をパパに渡してって言ってた!」



マダラはその紙を少女から奪い、眉間に皺を寄せながら紙を見る。



―――拝啓、うちはマダラ様

この子は私と貴方の娘です。
ちゃんと責任をとってください。

DNA鑑定書もこの子に持たせてあります。
疑うのならば、そのDNA鑑定書を見てください。





と、手紙に書かれていた。

マダラは足に絡み付いている少女を振りほどく。


「オレに娘はおらん!さっさと家に帰れ!邪魔だ!」


すると、少女は目に大きな涙を溜めて泣き始める。



「うわーーん!!!わたしのパパなのにー!!」



近所中に響き渡るように泣き始めるので、マダラは慌て始める。



「おい!うるさいぞ!」


「うわーーーーん!!パパのいじわるーーー!!」


「ねぇ、マダラさん…私、家に帰ってもいいかしら?」



すると、女が呆れたのかマダラに尋ねる。



「……オレは許さんぞ」


「……だって…色々と事情がありそうだし…」



女は隣で泣き叫ぶ少女をチラッと見て、マダラに話す。

すると、少女はより大きな声で泣き叫ぶ。



「パパーーーーーー!!うわーーーーーん!!」


「うるさい!!泣き止め!なんだこのガキは!!」


「じゃあ、私は家に帰るわね!」


「おい!ちょっと待て!」


女はマダラに手を振り、駅の方へと歩いて行った。

マダラは途方に暮れて、少女の手をとり、マンションの入口へと向かった。



「………グスッ…グスッ」


「部屋に着くまでは大人しくするんだぞ」


「………はーい!」



少女は直ぐに泣き止み、笑みを浮かべる。
マダラは溜め息をつきながら、認証を終えて、エレベーターに乗る。



「パパ!わたしお腹が空いたの!」


「パパと呼ぶな!オレはお前を娘だとは認めていない」


「なんでよ!?うわーーーん!!」



最上階に着き、エレベーターの扉が開く。

少女はより声を上げて泣き叫び、廊下中に響き渡った。



「おい!静かにしろ!……クソッ…!」



マダラは少女を抱き上げて、自宅へと走る。

そして、素早く鍵を取り出して部屋の中へと入った。



「……グスッ…グスッ」


「……あそこのソファーに座ってろ」


「………うん」



少女がソファーに向かって歩く姿を見届けてから、マダラは溜め息をつきながら自室に戻り、背広をベッドの上に置いた。

ネクタイをほどき、ラフな格好になったマダラは煙草を持って、少女が座っているソファーへと向かう。



「おい、その鞄の中身はなんだ?…見せろ」


「……うん」



マダラはソファーに座り、少女が持っていたリュックの中身を見る。

すると、DNA鑑定書や他にも沢山の封筒が入っていた。

マダラがその封筒を次々と開けてみると、戸籍や相続権等について書かれた紙が出てきた。



「………お前の母親はどこだ?」


「……ママはもう死んじゃったの。」


「嘘だろ?」


「本当よ。だから、パパの所に来たのよ。」


「他にも家族はいないのか?」


「いないよ。ママが死んじゃってから、おばあちゃんの所に住んでたんだけど、おばあちゃんもこの前死んじゃったの。この手紙を残して…」



少女はマダラが持っている手紙に向けて指を差しながら言った。



「パパ、わたし…ここに住んでもいいよね?」


「パパと呼ぶな!オレは信じないぞ……お前の父親はオレじゃない」


「じゃあ、でぃーえぬえー鑑定する?」


「するものか!!」


「わたし、パパ以外にみよりがいないの」


「………。」



少女はマダラの方を見つめては、泣きそうな顔をしていた。


マダラは少女の様子を見て観念したのか、溜め息をついて話し出す。



「………年はいくつだ?」

「今年で6つになるの」


「……名前は…結と言ったな」


「うん」


「………大人しくするなら、住まわせてやる」


「やった!!パパ、大好き!!」


「………ハァ…」



結はマダラに抱きついては中々離れなかった。

そんな姿を横目に見ながら、マダラは途方に暮れたのだった。


{prev 目次一覧 next}
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -