うちはマダラという男


―――――東京―そんな大都会に昼間には滅多に姿を現さず、夜になると暗躍し始める組織があった―


………その組織の名は"暁"…


今や首都圏において、千手組と双璧をなす一大勢力となりつつある。


その組織の会長である、うちはマダラは若くして生まれながらのカリスマ性を発揮し、その名を世間に轟かせていた。


……暁の構成員はどれも強者揃いで、中でも幹部クラスは裏の世界で知らない者はいないと言われている程の者達だ。




……そして今日も、暁は他の組との抗争に明け暮れていた…




―――――――




「……フン…今日の抗争は大したことなかったな」


「……そうですね。今回の抗争で羽衣組を組織下に置くことができましたしね。」



暁の幹部である薬師カブトはマダラに羽衣組の構成員が書かれている書類を渡す。

彼は暁の中でも一、二を争う情報屋だ。



「……フッ…これで、羽衣組は我が手中に……」


「……この後はどうします?……あの場所に行きます?」


「……そうだな…幹部を集め、あの場所に向かうとするか」



カブトは眼鏡を少し上げて静かに去っていく。

マダラは背広を広げ、肩にかけては煙草をくわえる。


そして、夜の町へと向かうのだった…




「……オビト…密輸の件についてだが…」


「……フン…分かっている。……中々交渉が進まなくてな…」



マダラは車内の中で、組織の若頭であるうちはオビトに話しかける。

この車の中にはマダラとオビト、部下である運転手の三人しか乗っていない。

この車の後に連なるようにして幹部が乗っている車が並んでいる。


町を歩く人々はこの異様な雰囲気を察して、チラチラと見ては直ぐに去っていく。


そしてマダラを乗せた車はある場所に着くと、運転手が後ろにまわり、後部座席のドアを開ける。

ドアが開くと、黒のスーツを全身に纏い黒い帽子を斜めに被った、うちはマダラが煙草をくわえて颯爽と外に出る。

すると、マダラの後に続きオビトや他の幹部メンバーもその店に向かう。


「ようこそいらっしゃいました。今夜はごゆっくりおくつろぎ下さい。」



その店を取り締まっている女が颯爽とマダラの前に現れ、挨拶をする。

マダラ達が店内に入ると、沢山の美女が一直線上に立ち並んでは彼らに挨拶をする。



「いらっしゃいませ、マダラ様!」


「今夜はゆっくり飲んで行ってくださいね!」


「……ああ。」



沢山の美女を連ならせながら、マダラは一番広いカウンターへと向かう。


「……今日も可愛い子ちゃんばっかりじゃねーか!」

「……飛段、あんまり飲み過ぎるんじゃねーぞ!うん!」



彼らは暁の幹部であるデイダラと飛段だ。

飛段は近くにいるキャバクラ嬢に絡んでは、嫌がられていた。

すると、既に席に座っているイタチやサソリ、ペインには沢山のキャバクラ嬢が集まっていた。



「……ペインさんったら、全然構ってくれないんだからぁ」


「……オレはお前らには興味がない。……嗚呼…小南……」


「……おい、小南はどうした?」


「旦那、流石に此所に来るのは気が引けるだろ…うん…」


「今日は飲みまくるぜェ!ヒャッフー!!!」



飛段は酒を次々と注文しては一気に飲み干していた。
飛段の隣に座っている角都は呆れた顔をして、酒を飲んでいる。



「……おい、今夜は空いてるか?」


「……マダラ様ったら…ご冗談止めてください」



マダラはこの店の一番人気の女を相手に口説こうとしていた。

肩に腕を回し、かなり体が密接している状態だ。


「……オレが冗談を言っていると思うか?」


「……またそんな…」


「……お前がその気でないのならば、オレがその気にさせてやる…」



マダラは女の耳元でこっそりと囁き、女は顔を赤くする。



「……今夜だけですよ?」

「………さぁな?」



マダラは口角を少し上げてニヤリと笑う。

そんな様子を見た、オビトは少し溜め息をつく。


「……いつもああやって口説いているが、泣かされた女は沢山いるんだ」


「本当なんですか?オビトさん?」



オビトは自分の近くに座っている女に語りかける。



「……この前なんてな、あいつのせいで妊娠した女がいるんだよ」


「それで?それで?」


「……あいつはな、その女に"おろせ"と一言言って、その後その女とは一切連絡も取らずに捨てやがったんだ。」


「なによその話!ひっどいわね!」



オビトはグラスを見つめ、溜め息をつきながら話し出す。



「その女だけではなく、他にもそんな女は沢山いるらしい……」


「大変ね。私も気を付けよーっと!」



オビトは女を片手に抱きながら酒を飲み続けているマダラをチラッと見ては溜め息をつく。



「……でもさ、マダラさんって子供作らないの?ほら、組の跡目とかの関係で」


「……あいつはガキは要らんと一点張りだ。ガキは邪魔になるから欲しくないんだと」


「まぁ…あんな人に子供がいるとは到底思えないしね…ずっと独身そうよね」

「……だな。あいつにガキができても子育て出来るわけがないしな。子供が可哀想だ…」



オビトは女と談笑しながら、酒を飲む。


…マダラは自分が天下であるかの如くに振る舞っていた。


確かに彼は端正な顔立ちにスラッと長い手足で、高身長だ。
しかも、暁を組織する会長でもある。


其処らの女がそんな男に口説かれて落ちない女はいないだろう…



そんな何事も順風満帆なうちはマダラにこの後、苦難が立ちはだかるとは誰も予期していなかった……


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