...
*時系列が滅茶苦茶です
*創設期メンバー生存しています
*オビトが主人公です
*舞台は一応、木の葉の里です

****



両親を亡くした日に、ある小さな少年は、うちは一族の長の元に引き取られた。

その少年―うちはオビトは、まだ10歳だ。

悲しみに暮れる間もなく、オビトは、うちは一族の長の屋敷へと向かっていた。
忍一と謳われた、うちは一族の長―うちはマダラに一度も会ったことのないオビトは、かなり緊張をしている。

一歩ずつ歩むにつれて、辺りは静かになっていき、周りを見渡せば、竹林が生い茂っており、やはり、一族の長の屋敷は違うものだと、オビトは感嘆する。
そして、石でできた長い道を歩み、ようやく、屋敷に到着する。

オビトは屋敷を一望しては、あまりの大きさに思わず声を出してしまった。格式高い屋敷の作りを見て、オビトは、ますます緊張をしていたが、勇気を振り絞って荘厳に構えている門をくぐり、屋敷の内部に一歩、踏み込んだ。



「し、失礼しま〜す」



オビトは弱々しい声で屋敷の玄関から上がると、奥から、うちはの忍である、うちはヒカクがオビトの元へと向かって来たのだ。



「こっちだ。マダラ様が彼方の部屋で御待ちしている」



オビトはヒカクの後について行くと、長く、静かな廊下を歩き始める。
余りにも辺りが静かなので、オビトは周りを落ち着きがない様子で見ていた。



(すっげーな、マダラってどんな人なんだろ?)



そして、ヒカクが、とある大きな部屋の前で立ち止まると、襖越しにオビトが来たと伝えた。
この部屋に、あのマダラが住んでいるのかと思い、オビトは息を飲む。
ヒカクはオビトに「礼儀正しくするんだぞ」と伝えると、襖を素早く開き、オビトは部屋の中へと踏み込んだ。



「お前がオビトか」


「こんにちは、オビト君」


部屋の内部に、マダラとその弟であるイズナがいた。
オビトは慌ただしく二人の前に敷かれている、座布団の上に座った。



「フン、本当に餓鬼だな。」



と、マダラはオビトを見て一言言い放った。
オビトは少し睨みながら、マダラを見つめると、やはりマダラは族長としての風格が醸し出されていた。
鋭い目で冷徹な表情を浮かべ、優しさの欠片もない。



「なんだ、その目は」


「べ、別に…!」



マダラは、すっかり怯えきっているオビトに容赦なく厳しい発言をいい放ち、屋敷での規則を高圧的な態度で話した。
そして、全てをいい終えると、部屋から立ち去って行った。
イズナはオビトを気遣い、優しく接していたが、オビトの心は酷く疲れきっていた。
これから、あのような小難しい人物と暮らすのかと暗い気持ちを抱えながら、イズナに案内された自室へと案内された。



「ゆっくり休むといいよ。兄さん、あんな感じだけど、直ぐに慣れるよ」


「…………。」



イズナが襖を静かに閉めた瞬間、オビトは畳の上に寝転んだ。



(はぁ……、疲れたな。こんな屋敷に住むとか最悪だ)



オビトは昔、母と父に囲まれた優しい家庭を思い出しては、涙を一粒溢す。
10歳の少年が住むには余りにも広い部屋で、孤独感が更に増し、オビトは昔から憧れていた一人部屋がこれ程まで悲しいものだとは思っていなかった。



(こんな部屋にいたら参っちまう、庭でも探検するか)



オビトは部屋から飛び出すと、美しく手入れされた大きな庭を歩き始めた。
本当に広い屋敷で、庭がどこまでも続いているように感じた。



(本当にデカい屋敷だな、どこまで続いてんだ?)



オビトは暫く歩き続けると、女が笑う声を耳にした。その声が気になり、美しく咲いている花々を掻き分けて行くと……



………その時だった。


一瞬、風が強く吹き始め、桜の花が舞い散る中……


一人の美しい女が縁側に立っていた。


この世の者とは思えぬ程に美しい顔立ちだ。
長い髪が風に揺られて舞っており、近くにいる侍女と共に笑っている。


オビトは、その姿が目に焼き付いて、身動きがとれなかった。

すると、その女はオビトの存在に気付いたのか、優しい笑みを浮かべて、手をゆっくりと差し出す。



「こんにちは、オビト君」


優しい声で呼ばれたオビトは、その手を握り、その女の前へと歩む。


……嗚呼、本当に綺麗な人だと思いながら、オビトはその女と共に部屋の中へと入って行った。



つづく
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -