...
*創設期が舞台。
*マダラ、イズナ生存
*木の葉の里は平和。
*世界観が崩壊しているので、注意
―――――――
「今日こそ、イイ男を見つけてやるんだから!」
木の葉の下町に一人の女がいた。
その女の名は小梅といい、毎日、下町の定食屋で働いていたが、幼い頃から、ある一つの願望を持っていた。
――それは玉の輿に乗ること。
彼女は特別、貧乏であるわけではなく、一般の家庭に育ったにも関わらず、何故、そのような邪な願望を抱いていたのか。
それは、余りにも"普通"過ぎる家庭に育ったからだ。彼女は"普通"の生活から脱却して、金持ちの男と結婚して、贅沢な生活を送りたいと思っていた。
(はぁ……。今日もイイ男は、いないわね……。汚いオッサンばかりじゃないの……。)
と、小梅は今日も、ぶつくさと心の中で呟きながら、皿を洗っていた。
ちなみに、小梅は料理人でもなく、ウェイターでもなく、ただ、皿洗いをするだけの仕事を担当していた。
だが、そんな平凡な彼女にも、唯一武器となるものがあった。
――それは、美貌。
小梅は小さな顔に目がクリッとした、可愛らしい顔立ちだった。
実際、定食屋で働いていて、何人かの男に声を掛けられた事があった。
しかし、その男達は小梅にとって、"汚いオッサン"でしかなかったので、小梅は、そんな男達など眼中になかった。
そして、昼休みになり、小梅は外に出て、里を歩いていた。
(火影様と結婚できたらな……)
小梅は火影岩を見ながら、色々と妄想を膨らました。
二代目火影は、中々の美男子だと噂されていたので、欲張りな小梅にとって、最高の餌食である。
「……でも、陰険そうな人……」
「悪かったな。」
小梅がボソッと言った瞬間だった――
小梅がゆっくりと、横を見てみると――
――二代目火影である、扉間が隣にいたのだ。
小梅は扉間の顔を見たことがなかったので、色々と戸惑いながら扉間の方を見つめる。
「あの……もしかして、貴方は……」
「……二代目火影だ。」
「ええぇっ!?!」
小梅は突然の出来事に驚いてしまった。こんな出来事が世の中にあるのかと疑うくらいに。
だが、小梅は好機だと思っていた。
ここで、扉間に近付く機会が得られたのだ。うまくいけば、玉の輿に乗れるかもしれないと、小梅は思い、扉間の腕にいきなり、すがりつく。
「火影様〜、私、前から火影様の事をお慕いしていたんですぅ〜」
(なんだ……コイツは)
と、扉間は内心で思っていた。
小梅の渾身の演技に戸惑っているようだ。
「私、扉間様と出会えて嬉しいですぅ〜! 付き合って下さい〜!」
扉間は思っていた。
この女は頭がいかれていると。
だが、一方の小梅は手を握って、目をパチパチしながら懇願していた。
(フフフ…これで、火影様は私のモノになるわね…)
小梅の脳内には、既に将来の自分が映し出されていた。美しい着物を着て、豪華絢爛な部屋で、のんびりと過ごしている姿を……。
「すまんが、いきなり言われても困る。」
と、扉間はあっさりと小梅に言って、何処かに去っていってしまった。
小梅は茫然として、立ちすくんでいると、目の前に爽やかな風が流れていた。
(えっ………!? なんで!?)
と、小梅は戸惑っていると、風にのって、一枚の紙が小梅の顔に張り付いた。
その紙を見てみると、“アルバイト募集中!〜あなたも火影様の元で働いていてみませんか〜”と書かれている。
小梅は、その紙を握りしめて、早速、玉の輿への道を一歩ずつ歩み始めようとしていた。
つづく?