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これで仕事は終了、人気の無いトイレで着替えてアタッシュケース?みたいなのにスーツを突っ込んだ。
そういえば今日ってMVPの発表だっけ、ヘルメットを局のロッカーに置くついでに舞台の裏から少し眺めていくことにした。
「誰のおかげでヒーローできてるか、わかってるよな」
「・・・スポンサー様です」
「(・・・・あ。)」
聞こえてきたのは虎徹さんとベンさんの会話。
・・・裏方から見るヒーローどころかサラリーマンヒーローの裏事情まで見えてしまった。
ワイルドタイガーの全盛期を知っているから悲しくなっちゃうなぁ、一応子供の頃はファンだったし・・・
今日も1位はスカイハイだろう。
なんとなくそれを眺める気が削がれて最後まで見ずに近所のファミレスで夕食を済ませた。
・・・雑誌でも買って帰ろうかな。
「おばちゃん、これ下さい」
「あいよ」
道中の売店に立ち寄ると並べられている色とりどりのカードが視界に入った。
そういえばカード売ってたなぁ、なんとも懐かしいアニメの記憶が蘇る。
意外と折紙サイクロンが売れてる事に謎の感動。
「あー・・これもください」
やはり、というかワイルドタイガーのカードだけ全然売れてなかった。
それがなんとなく不憫な気がして一枚手に取った・・・時だった。
「・・・お、はるちゃんじゃないか!」
「!!!虎徹さん・・・」
びっくりしたー・・
背後から見知った声、さきほどのサラリーマンヒーローだった。ってかあんた表彰式終わってないのに帰っちゃうのか
「そ、その持ってるのってワイルドタイガーか!?」
「あー・・ハイ」
「はるちゃん、その・・・もしかしてファンなのか!?」
嬉しそう、っていうか感極まって目が潤んじゃってる虎徹さん。
あざとい。
「はい、昔からファンですよ」
「そうなのか!!うわー、俺すっげえ嬉しい!!」
つい言っちゃったあああ!!
可愛さに負けたと言うかなんていうかドキドキするぅぅぅ
「・・・・・・(どうしようどうしよう)」
「あ・・・・・(俺今ワイルドタイガーじゃねぇのに言っちまった!!)」
――――♪―♪――♪
「!」
わたわたしてると調度良いタイミングで電話が鳴った。
聞き覚えの無い着信音は虎徹さんの携帯のようだ。
「あー・・・悪い」
「あ、それじゃ失礼しますね」
バツが悪そうな虎徹さんに小さく頭を下げて私は家に帰った。
(アントニオ!やべえ俺バレたかも!!)
(・・お前ならいつバレてもおかしくないだろ)
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