バイリンガルの役得



「日本語」『英語』


日本とアメリカは同じくらい大切だ。アメリカに本社を持つ親に振り回されて、早16年。2つ家を持っているから、毎回同じ学校に出戻りの様な形で転校するから半ば学校の都市伝説になっているらしい。

「ジュニアは今どこ?」
「学校近くのダイナーだけど。」
「じゃあ私も行くね」

ぷちりと電話を切った時にはっと気付く。いま、私達は日本語で喋ってた?リダイヤルするか迷ったけれど、ダイナーまで大した距離も無い。私は走って向かうことにした。

乱暴に店のドアを開けると、ジュニアはお昼を食べようとしているところだった。ジュニアがいるテーブルまで行くと、ジュニアはようなんて何も知らない様な顔で言う。

『日本語勉強したの?』
『あー…まあ。』
『なんで!』
『お前、怒った時俺にはわかんねえだろうと日本語で悪口言うだろ。』
『あー。』
『だから聞き取ってやろうかって。』
『何それー!』
『はは!でも目的はあとひとつあるけどな。』

ジュニアは少年みたいに笑ったまま、私の手を引いて隣りに座らせる。しばらく考える表情をした後に、空いた手でコーラを一口飲む。

「好き。」
「は…!」

私の反応を見て、またにやりと笑う。そして言い続けた。

『お前のカラーで言いたかった。』

そう言って、少しばかり腰を曲げて優しくキスを落とす。私はそんなジュニアは愛らしくて頬をつまんで悪態をつけば、それにダイレクトに反応を返してくる。

『あーあ、そんな格好いい事されたら、もっと好きになっちゃうじゃん。』
『だろ?』
『もう!』

とジュニアの胸を叩く。

『あれ…ジュニア、また体大きくなってる?』
『ああ、半年経ったしな。』

私は以外と固かったその感触にドキドキしてしまう。

『女の子から告白された?』
『あ、ああ…。』
「どうしよう、こんなに格好いいんだもん。女子がほっとく訳ないじゃん、スクールのマドンナがジュニアに告白したら私勝ち目ないよ…。」
『おい!』
『な、なに…。』
『言いたい事あんなら、英語で言え!』
『…。』

暫く沈黙が続く、とはいえ昼時で賑わうダイナーで2人の間に会話が途切れただけで周りは虚しい位に騒がしい。沈黙を破ったのはジュニアだった。

『俺は、小さい頃から花子しかみえてない。きっと、これからもだ。』

私がジュニアに言いたい言葉のその返事の様なことを言われて、泣きそうになる。言葉だとかそんなのは相手と距離を縮める為のツールのひとつなだけで、それが全てではない。もしもジュニアが明日、何も聞こえなくなってもきっと愛してるは伝えられるはずだ。







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