葉が落ちていくのがきれいに見えるところがお気に入りだった。窮屈なワンルームは暮らしやすいかと問われるとイエスだとは言い切れないけれど、それでもこの生活は慣れれば不便ではない。カーテンを四季ごとに変えるという妙な拘りがある私の家に来る度に、彼はカラカラと笑って季節を楽しんでいく。自分以外にも喜ぶ人がいるから自然と張り切ってしまって、模様替えまでするようになってしまって。家に物が少し増えて、少しずつ狭くなっていって。ソファの沈みが彼を覚えている。

「すっかり秋だな」
「うん、そうね。寒くなってきたね」
「冬はやだなあ」

 准がキッチンから持ってきたマグカップの中には幸福が注がれている。ミルクティーがちょっとだけ苦手な准のためにだけ置かれているココアの粉は残りわずかだ。テレビのチャンネルを意味もなく変える私の隣、決まった形にソファが沈んで、何の会話をするわけでもなく、テレビを見るわけでもなく、ただ、ただ、息をしている。

 テレビに出ている自分を見るのは少し照れるらしい。グッズ集めに興味などないが私の部屋には准のグッズがいくつか並んでいる。准がくれたり、友達がくれたり、自分で買ったりと入手方法は様々だが着々と増えていく嵐山准コーナー。うちわは恥ずかしいので買っていない。

「ん〜……」
「なあに、ねむい?」
「……いや、ああ、そうかもしれない」
「ちょっと寝たら? 起こすよ」

 んんむ、となんとも言い難い声を出して抱きついてきては臍あたりに頭を押し付けてくる准のふわふわの頭を緩く撫でて笑う。マグカップの中身が冷めきって、日が傾きかけた頃には起こしてあげよう。足、痺れないといいなあ。

「おやすみ、准。良い夢を」

 旋毛にそっとキスひとつ。返ってくるのは寝息だけ。無防備な准の、あどけない寝顔。この部屋の中では私がきみを守ってあげるからね。

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