遠くへ行きたい。広くない部屋に落とされたか細い言葉に目が見開く。表情が気になって顔を覗き込めば、薄いピンク色の唇が再度同じ言葉を吐き出す。それから視線を合わせれば悪戯を仕掛けた子供のような笑顔を見せた。白い指先が俺の眼鏡をそっと外し、グラスコードが音を立てる。レンズを通さない世界で見ても、彼女はいつも通りの彼女だ。

「たまにね、思うの。ろしょくんとふたりで遠くに行けたらなって。誰もいないくらい、遠くにだよ」
「誰もおらん所なんて今日日無理に等しいやろ」
「あはは、そうだね」

 黒い瞳が何を言いたいかがわからなくて胸の奥がぎゅうと締まる。彼女は時折抽象的に会話をし始めることがあり、俺はそれが少し苦手だった。はっきり言ってくれと請うてもそれが全てだと返されるのがわかっている。奥歯ががちりと噛み合って、力の抜き方を数秒だけ忘れる。フラットな状態に戻った頃には彼女も俺と同じで、先程の不穏さはもうどこにもない。突然目にハイライトが入ったように、全身に血液が巡るように、彼女が煌めいていく。何度見ても見慣れない、どこにあるかわからない境界線。彼女は時折、目の前からいなくなる。

「ご飯なに食べよぉ」
「買い物行かなあかんな」
「おさかながいいなー」
「はよ行かんと店閉まるで」

 んああ、と間の抜けた声を出す彼女の腕を引いてやる。抱きつく様に立ち上がり、数秒停止しコートを取りにとことこと歩いていく後ろ姿をぼんやり見守った。彼女の後を追えば、自分のものより先に俺のコートを手にとって手渡される。当たり前だと言わんばかりに、いや、実際に当たり前だと思っているのだろう。彼女は何も言わない。お礼を言って受け取れば、花の咲くような笑顔が返ってくる。結局上着を着ない選択をした彼女を見て目を伏せて笑う。お前にとってはまだ寒くないのか。ふたりの生気が染み付いた家を出て風の微温さに目を細める。ぺったんこの靴が好きだと言った彼女の脚元はコツコツと音を立てている。目線が近くなるからこれも悪くないと誤魔化すように笑った日は、彼女が大人の欠片を飲み込んだ日。どれだけ差が開いていようと俺が目線を合わせるために屈めば良いだけだ。それなのに彼女はいつまでだって背伸びをやめない。……俺も、腰を折り曲げるのをやめられない。

 大人になりきる前に大人になることを強いられた彼女の成長過程で恋をした。

「ろしょくん最近電気つけっぱなしした?」
「いや、してへんな」
「電気代なんか高かったんだよね〜。なんでだろ」
「そんないつもと違ったん?」
「にせんえんくらい」

 所帯じみた会話は俺達が日々を共有していることを色濃くさせている。新しいドライヤーがどうだの、テレビをつけっぱなしで寝てしまった日があっただの、やいやい言い合っていればあっという間に目的地について会話が一度中断される。目に入ったものに対して思ったことを何も考えずに口に出す彼女の幼い癖は健在だ。これが安いね、美味しそうだね、おなか空いたね。見て見てと腕を引っ張る癖はいつまで経っても治りやしなくて、数秒後ハッとしたようにやめるまでがお決まりだ。誰も気にしてなんかいないのに、彼女はどうしてか"子供っぽい"を極端に嫌う。長所とも呼べる天真爛漫さなのに。原因は十中八九わかりきっていて、俺と彼女の年齢差を彼女自身が深く気にしているからだ。

 彼女と交際を始めたとき、彼女は未成年ではなかった。当たり前だが法律に触れるような行いはしていないし、彼女の両親に挨拶も済んでいる。彼女は今年でもう二十四になるし、俺はいよいよ三十路までの王手をかける。出会った頃と比べて、お互いに変わったと思う。平たく言えば精神的に成長しているはずだ。

「鮭にしよう!」
「ええやん」
「ええやん? ええやん?」
「やらへんぞ」

 あちゃあ〜とでも言いたげに目をキュッと瞑った彼女の頭を軽くはたく。魚屋の店主に大きく手を振ってまた来るねと笑う彼女は幼子のようだ。店主もそう思っているのか満面の笑みで手を振り返している。会釈をしてから店を出てスーパーに寄ろうかコンビニで済ませようか悩んでいれば、彼女が真っ直ぐ帰路を選んだので選択肢が絞られた。冷蔵庫には何が入っていただろうか、と思ったタイミングで彼女が指を一つずつ折り曲げながら冷蔵庫の中身を口に出す。考え事の共有が自然とされているのは彼女と一緒に居てかなり嬉しく、楽な部分だ。過ごした密度がそうさせているのか、時間がそうさせているのか、元々似た者同士だったのか、少しずつ似てきたのかはわからないが、その内のどれであっても、どれでもなくても、幸福なことだ。

 初冬の風に吹かれた彼女の黒い髪の毛が目に入って手を伸ばす。ガシャガシャとビニール袋が音を立てて、彼女の首がぐるりと回る。ああ、すまん。と、声に出す前に彼女が首を傾げる。随分伸びたなと、たったそれだけだった。

「髪、伸びたな思て」
「そうかなあ」
「伸ばしとんの?」
「んー……うん。伸ばしてる」
「そうか」

 取り留めない会話をぽつりぽつりと繋ぎながら家まで辿り着く。鍵を開けてからコンビニに寄るのを忘れたことを思い出して、あ、と彼女が一音だけ吐き出した。そう急ぐものもないし、まあいっかと笑った彼女につられて笑って、二人で手洗いうがいを済ませる。彼女が早番の日の朝や、こうして一緒に帰宅したときに二人同時に並ぶ洗面所が好きだった。どちらかの指紋で汚れた鏡が、ぎゅうぎゅうで狭いと訴えかけてくるのが実に好ましく見える程、俺は彼女との暮らしを気に入っている。それこそ、この先もずっとこうであれば良いと思う程には。

「おせんたく回したまま行っちゃった!」
「干しといたで」
「え!? いつの間に!」
「家出る少し前やろか」
「わああ、ありがとぉ」

 だいすき、と続く彼女の唇に無性に惹かれて親指でなぞればびっくりしたと言われなくても分かる跳ね方で肩が動く。ありがとうと大好きは彼女にとってセットのようなもので、俺以外にも言っているのをよく見かける。安売りではなく、感謝表現だと彼女は笑う。無垢だと思う。無邪気だとも思う。それは少し、恐ろしいくらいに。

「なあに」
「いや、なんでもあらへん」
「ちゅうする?」
「なんやそれ」

 笑い声と共に忍び寄るキスを甘んじで受け入れた。数度くっついて離れてを繰り返して、照れたように彼女が笑う。

「なんか言ってよぉ〜」
「なんかってなんやねん」

 ささいなじゃれ合いが愛を育む栄養剤になっている。爪先が触れ合って、足の指同士が中途半端に重なって。ソファに雪崩込んで、どちらかともなく笑い合っている。キスをした後の照れくさい時間のことを、幸福をぎゅっと丸めて口に入れて飲み込んだ味がすると形容した彼女の感覚が今なら半分程度は理解できる。半分理解するのに二年程経過していて、恐らくもう半分はこれから先も理解することはないのだろう。それでも良いと思えるのは、彼女が俺とは違う人間だから。

「ごはんつくろっか」
「ん。髪結んだろか」
「いいの? やったあ!」

買った時は透明感のある綺麗な薄ピンク色だった桜型の小皿はもう随分色褪せた。割らずにここまで持ったことを喜ぶべきか、新しいものの購入を試みるべきか。物をよくなくし、整理整頓が苦手な彼女のためにあらゆるものに決められた住所。ヘアゴムとヘアピン、それとシニヨンに被せるネットの住所はこの小皿の上だった。味気のない黒色のゴムを手にとってソファ越しに彼女の後ろへ回る。彼女の髪をひとつにまとめて結うことだけが上手くなった手先は実に慣れた様子で髪の間に指を通している。なんの捻りも飾りもないただまとめただけのこれに、彼女はこれでもかというくらい嬉しそうな顔をする。

「ありがとう!」
「ん、どういたしまして」

 俺も彼女も手先が器用な方ではないか、性差もあり俺よりは彼女のほうが幾許かは器用だし、俺より手慣れているのは自明である。俺のしてやりたいというエゴイズムと、彼女の甘えた癖のニーズ一致。これはきっと俺達がいくつだろうと、男と女じゃなかろうと、与え合うものだろうに。
 野菜を洗う手元を見つつ使う調理器具を選んでいく。俺と暮らし始めてから食べられるものが圧倒的に増えた彼女の舌の変化に素直に喜べないのはどうしてなのか。誰かと食べる飯の美味さを知らなかったわけではないが、彼女と暮らしてからはより顕著に感じるようになった。食物を美味しそうに食べることに天才的に長けている彼女と過ごした食卓は、九割型幸福で埋まっている。ピーラーで人参の皮を剥く彼女の横で玉ねぎを刻む。広くも狭くもないキッチンで肩が触れ合いそうになるくらい至近距離で料理をする時間はそう何度もあることではない。職業柄、きっちりした生活リズムを過ごす俺と日によってばらばらな彼女とでは起床の時間も帰宅の時間も揃わない。それでもせめて、週に一度くらいはこういう時間がほしいと言ったのは彼女の方だった。

「きのこあったっけ」
「冷凍してあったはずや」

 曖昧な返事をして冷凍庫を漁る彼女を上から覗き込んで手を伸ばす。整頓した冷凍庫を荒らされるのは嫌だったし、彼女は探しものが得意ではない。ありがとぉ、と気の抜けた声と笑顔で大体のことを許してしまえるのだから、きっと俺は彼女に相当惚れ込んでいる。

「明日何時やっけ」
「んと、おそい」
「ん」

 軽快な音楽を流した炊飯器を開けて白米をかき混ぜながら明日の予定を確認する。俺は休みだが彼女は仕事。これにももう慣れたもので、休みが合わなくてごめんと謝られることもなくなった。謝罪の言葉はどんどん減っていく一方で、その代わりに感謝の言葉が増えていく。俺も彼女も楽観的な方ではなく、交際を始めた当初は中々苦労した。彼女の孤独からくる杞憂は止まることがなく、あまつさえそれをひた隠しにしており、抱えきれなくなったら爆発する。それを数度繰り返すうちに、耐えられなくなったのは俺の方で。一緒に住もうと言った瞬間の表情を俺は今でも忘れられない。
 目元いっぱいに涙を浮かべ、真っ黒な目を大きく見開いて、はくはくと息ばかりをこぼす唇。しゃくりあげるほど息を詰まらせていて、抱きしめながら背中をさすった。心臓の音が肌を伝わって聞こえてきて、彼女がパニック状態になっているのは一目瞭然だった。ぐちゃぐちゃだとでも言いたげに俺の肩、ワイシャツを握りしめてわんわんと泣き出して、漸く絞り出された言葉は「こわい」だったのだ。

「ろしょくん? おさかな焼けたよ」
「ああ、すまん。ちょっと昔のこと思い出しとった」
「むかしのこと」

 疑問に思うとその言葉を舌っ足らずに繰り返す癖。前髪が目にかかっていて邪魔そうだったのでよけてやる。食器に出来上がったばかりの料理を乗せて二人で運んだ。不思議そうな顔をしたままの彼女になんと説明するか少し悩んで、俺も彼女も会話の続きより飯が冷めないことを優先して手を合わせる。

「うまい」
「おいしいね」

 テレビの音が無言を繋いでいる。飯を食う時にテレビをつけるようになったのは最近で、特に意味はないが、なんとなくつけっぱなしにしたまま定着していった。俺も彼女も画面に意識を向けながら飯を食える程器用ではないので垂れ流したままになってしまっていて、本当に意味がない。それでもどちらもやめようとは言わなくて、無言が気まずいなんて時期はとっくに過ぎているのに、二人の間に生まれた小さな違和感は歪となって部屋の隅々に何かしらの形を持ってへばりついていく。

見て見ぬ振りをしているのは誰が為?

「海」
「うみ?」
「行かへんか」
「……ろしょくんは寒いんじゃない?」

 既に厚着の支度を始めている俺と、未だ上着一枚羽織ろうとしない彼女。オオサカに住んでからもう何年も経っているというのに彼女のからだは雪国で育ったときのままの温度で止まっている。気温の感覚が揃わないというのは存外不便なもので、春夏秋冬の幅がずれているのは少し淋しさを纏っているように思う。

「入るわけやないし」
「あ、入らないんだ! いいよ、いこ、いつにする?」
「朝でも夜でもええ」
「……? 次の次の日曜日なら休みだったと思うけど」

 俺の無言をどう受け取ったかわからないが、彼女の目が遠慮がちに伏せられた。オオサカの海は綺麗ではなくて、いつの日にか彼女と行った彼女の育った場所の海とは比べ物にならない。彼女が望む誰もいないくらい遠くではないし、翌日にはどうせどちらかが仕事なのだから、直ぐに帰らなければならない。

 それでもお前の望みひとつ叶えてあげられやしない自分でいるのは嫌だった。

「いいよ、大丈夫。海は夏にしようよ、きっと寒いよ」
「……中には入らへんって」
「うん。でもきっと寒いよ。風強いし、濡れちゃうかもだし、お洗濯大変になっちゃうもん」

 ね、と幼子を宥める時と全く同じ声色で俺に説いては、笑顔を見せる彼女の表情が苦しい。そんな顔をさせたかった訳ではないのだと、言ってしまえばきっともっと無理をするだろうから、言えずに謝罪だけ言葉にした。
 俺も彼女もしてやりたがりで、それが己の幸福に繋がっている、少し難儀な性格をしている。

「おみそしる冷めちゃったね、あっためなおそっか」
「……ありがとう」

 口をつけていないふたつの椀を持って台所へ向かった彼女が先程まで座っていた場所をぼんやり見つめる。気を遣わせてしまったと後悔して、少し冷えたご飯を咀嚼した。お茶が注がれているグラスは汗をかいてしまっていて、ティッシュで拭き取る。先の約束をするのが嫌いだと言っていた彼女が取り付けた夏の海の約束を、今度は俺が飲み込めない。次の夏は半年以上先のことで、そこでふたりが一緒に居続けているかどうかなんて、誰にもわからない。
 叶わなかったときに死んでしまうくらい悲しいから、約束は嫌い。俺以外の誰かとの約束が叶わなかったことがある証明だろう。

「お待たせん」
「ありがとうな」
「ろしょくんってばありがととごめんばっかり! どうしたの? なんかあった?」
「いや、なんにもあらへんねんけど……」
「でもへんだよ。今日は早めに寝よっか」

 入浴剤選んでいいよ、と笑って言われ、なんやそれと返す。湯気が立ち上った味噌汁ももう底が見えていて、手を合わせて挨拶をして、食器を片付ける。いつもと変わらない日々の中にいるはずなのに。

「さみしくなっちゃった?」
「……はっ、なんやの、それ。お前じゃあらへんし」
「ふふ、そうね。そうだよね。でもぎゅってするね」

 食器を洗い終わった手にまだハンドクリームを塗り込んでいないのに、横から抱きつかれて身動きが取れなくなる。初冬とは言え冬は冬、乾燥し始めてきたことに変わりはないのだから早く保湿をしなければまた痛そうな手になってしまうというのに、彼女から抱擁を拒むことはできずに押し黙る。彼女の表情を知っている。愛しいものを見つめる目。彼女が俺によく言う、俺が彼女に向けている表情だ。

「どこにも行かないよ」
「知っとる、けど」
「うん。でも、言わせてね」

 俺の胸元に頭を押し付けたから、彼女の表情がわからなくなってしまう。どこにも行かないよ、なんてありふれた言葉。それはお前が、俺から欲しがる言葉であって、俺が欲しい言葉ではない。

「ろしょくんにとって私はまだ子供かな」
「っ、なんやの。怒るぞ」
「怒ってもいいよ」
「初めて会った日からずっと子供なんかじゃあらへんって言うたはずやけど」
「うん。そうね、言ってたね。私はもうきっと子供じゃないけど、それはろしょくんが大人じゃなきゃいけないって意味じゃないよ」
「……何が言いたいん」
「ろしょくんこそ。今日は何が言いたかったの?」

 明らかに苛立った声色を零す俺とは対局に、彼女の声色は一貫として穏やかだ。

「おまえ、が、何言っとるかわからへんからや」
「…………遠くへ行きたいって言ったこと?」
「……」

 無言を肯定と認識した彼女の言葉が続く。

「対等になりたいなって思ったの。もちろんわたしたちの間に格差があるって言ってるんじゃなくって……。なんて言えばいいのかなあ。私とろしょくんしかいない世界に行けたら、きっとわたしたちは対等になれると思ったんだよね。誰に何を言われることもなく、視線を気にすることもなく、言い訳のために時を待つこともなく、さ。そこには大人も子供もなくって、だってそれは誰もいないからで、ふたりっきりだったらきっと、好きなだけ甘えて、甘やかして、何を気にすることもなく、ひとりとひとりじゃなくって、ふたりになれると思ったの」

「でもね、きっとそれは間違いで、そんなことしたって私とろしょくんの差が埋まるわけじゃないし、きっと対等ってそういうことじゃない。それもぜんぶわかってる、わかっているけど、行きたかったんだよね、遠くに。うんと遠くだよ。どこまで行っても他人なのが悲しかったのかもしれない。私とろしょくんって、結婚しても同じお墓に入っても、結局血が繋がるわけじゃないんだよね。こころを通わせることはできるのになあって。足りないとか、どうしたいとか、どうしてほしいとかじゃなくて……。わたしたちやっぱり、どうしようもなく、あなたとわたしでしかないんだなって。それは嬉しいことだね」

 結局、俺は彼女が何を言いたいかが、わからない。

「好きだ」
「うん。知ってる。私もよ」
「どうしようもないねん、こればっかりは」
「そうだね。わたしたち、どうしようもないね」

 揃いの思い出がこうして増えていくことを、彼女は素直に喜んでいるように見えた。こういった話題はいつだって泣いていたのに、今日の彼女は幸福そうな笑みを浮かべているだけだ。情けない顔をしているのは俺の方で、これじゃあまるで俺が子供のようだ。

「泣かないで」
「泣いてへんわ」
「うん、でも、言わせてよ」

 目から涙がこぼれている訳ではないのに、何に対してそう言うのか。彼女が対話しているのは俺の、何なのか。

「これからもふたりでいようね」
「当たり前やろ」
「ありがとう」

 彼女の黒い髪の中心、旋毛にキスをする。きっと俺達はずっとこのまま、どうしようもなく、ふたりで生きていく。

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