02
行儀よく俺が出した朝ご飯を食べていくサトシ。どうやら躾はしっかりとされているらしい。
俺はさっそくサトシに仕事を言い渡した。
「お前それ食ったら自分で食器洗えな」
「わかった。……あ、隆さんの朝ごはんは……?」
「昨日夜中にメシ食ったから腹減ってねんだよ」
誰かさんの具合が悪いんじゃねぇかと心配して見てたせいで、俺ほとんど寝てねぇし。
あーあ、なんつーもん拾っちまったんだか。
「それ食ったら出かけるぞ」
「どこ行くの?」
「お前が寝る布団買いに。あと他にもいるもんあんだろ」
「隆さん、買ってくれるの?」
「まぁ、な。この若さにしちゃあ稼いでる隆さんに感謝しろよ」
「ははっ! 自分で言うなって」
サトシが自分で使った食器を片付け終わってから、俺たちは一緒にアパートを出た。俺の愛車に乗り込んで、近くのホームセンターへと向かう。
「なんか……、大人って感じだ」
「ま、お前に比べりゃ大人だな。16つったか? 一回りも違えばおっさん呼ばわりも仕方ねーか」
「ほんとはおじさんなんて思ってないよ。だって隆さん、カッコいいし……」
「あん? なんだって? 最後の方聞こえなかったわ。もう一回言ってみ」
「なんでもない!」
照れちゃってまぁ。かーわいい。俺はサトシの頭をガシガシッと撫でた。
「な……っ、にすんだよ。髪グシャグシャじゃんか、もー!」
「男前があがっただろ?」
俺はニシシと笑って運転を続けた。安全第一。サトシも文句を言いながらも笑顔だ。
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