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「……再発、ですか……?」

「えぇ。5年……5年経てばほぼ再発の心配はないと言われていたの。それが……、先月の検査で再発が分かって……」


 サトシの母親は必死に涙を堪えていた。
 脳裏に浮かぶのは、まだ小さかった聡が抗ガン剤の副作用で髪が抜けてしまった頭を笑顔で撫でる姿。
 闘病の辛さを見せない強い子だった。


「サトシは、また……」

「……もう、治療はしないと言ったわ。再発だと移植も期待できないし、……化学療法も放射線も効きにくいの。……だから、もう……もう……っ」


 サトシが、いなくなる……。


「……これからは、あの子の好きなようにさせてあげたいの……」


 なんだよ……。『バイバイ』ってそういうことかよ……。


「サトシに……会って来てもいいですか?」

「もちろんよ。会ってあげて? ……あの子、隆君が退院してからもずっと隆君のこと話してたのよ。きっと、すごく喜ぶわ」

「じゃあ、失礼します……」


 挨拶をして立ち上がった。また、ゆっくりとサトシの病室まで歩く。
 会って何を話そうかなんて思いつかない。頭の中は真っ白で、たった1つのことがグルグルと回る。

 サトシは、……もう生きられない。


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