10




 真っ暗になった部屋で、狭いシングルベッドに身体を寄せ合って横になった。
 沈黙が長く続いている。俺はどうしていいか分からず、天井を睨むこと以外できなかった。


「隆さん」


 正直、サトシが話しかけてきた時には心臓がギュッと縮まるほどだった。


「……ん?」

「何で俺と、付き合ってくれたの?」

「好きだと思ったからに決まってんだろ?」


 仰向けに寝ていたサトシが俺の方に身体を向けた。


「……抱きしめていい?」


 答える代わりに俺もサトシの方を向いた。伸びてきた左腕の上に頭を乗せて、俺も左腕をサトシの背中に伸ばす。
 俺を抱きしめる両腕に力が込められて、こういうのも悪くねぇと思った。


「……ずっと、こんな風に抱きしめたかった。もっと俺の背が高かったら、立ってても包み込めるのに」

「まだまだ背くらい伸びるだろ」

「うん、……そうだね」


 サトシの温かさが気持ちよかったのか、俺はすぐに眠くなり、それに身を任せて眠ってしまった。

 次の日の朝には、サトシがいなくなっているなんて知りもせずに。
 バカみたいに幸せな夢を見ながら、ぐっすりと。


- 21 -



[*前] | [次#]
[戻る]


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -