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真っ暗になった部屋で、狭いシングルベッドに身体を寄せ合って横になった。
沈黙が長く続いている。俺はどうしていいか分からず、天井を睨むこと以外できなかった。
「隆さん」
正直、サトシが話しかけてきた時には心臓がギュッと縮まるほどだった。
「……ん?」
「何で俺と、付き合ってくれたの?」
「好きだと思ったからに決まってんだろ?」
仰向けに寝ていたサトシが俺の方に身体を向けた。
「……抱きしめていい?」
答える代わりに俺もサトシの方を向いた。伸びてきた左腕の上に頭を乗せて、俺も左腕をサトシの背中に伸ばす。
俺を抱きしめる両腕に力が込められて、こういうのも悪くねぇと思った。
「……ずっと、こんな風に抱きしめたかった。もっと俺の背が高かったら、立ってても包み込めるのに」
「まだまだ背くらい伸びるだろ」
「うん、……そうだね」
サトシの温かさが気持ちよかったのか、俺はすぐに眠くなり、それに身を任せて眠ってしまった。
次の日の朝には、サトシがいなくなっているなんて知りもせずに。
バカみたいに幸せな夢を見ながら、ぐっすりと。
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