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 そのまま何も言わずに布団を敷き、寝る体勢になるサトシ。


「お前、何言ってんだよ?」

「……俺、明日出てくから。彼女だが元カノだか知んないけど、連絡すればいいじゃん」


 初めて聞く、冷たいサトシの声。俺が知っているサトシはいつも、笑ってるか拗ねてるかのどちらかだった。サトシは怒っているというのに、知らないサトシを知れたことを嬉しく思うのは不謹慎だろうか。


「麻希のことはどうでもいいけど、お前、出てくってどういうことだよ?」

「邪魔だから」

「邪魔な訳ねぇだろ。お前分かってんのか? 俺はお前に惚れてんだぞ」


 そう言うと初めてサトシが俺を見た。嬉しそうな顔をするとばかり思っていたが、サトシは今にも辛くて泣きそうな顔をしていた。


「どうしたよ? 言ってみ?」

「……今晩だけ、一緒に寝てもいい?」

「明日も明後日もいいぞ。お前フロは?」

「……まだ」

「じゃあ入ってこい」

「うん」


 サトシがフロに入っている間に、サトシの布団を畳んだ。
 もう俺のベッドで一緒に寝るしかねぇぞ。そういう状況を作ってしまわなければ、決心が鈍りそうな気がした。

 痛いのか。痛いんだろうな、そりゃ痛いよな……。郁巳め……ビビらせやがって。

 サトシと入れ替わりでフロに入った。いつも長ブロの俺が、さらに長時間入っていた。何でかって? 身体を隅々まで何回も洗うためだよ。


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