04




「冗談だよ」


 割と本気だけどな。


「バっ、バーカ! 変なこと言うなよな、オッサン」

「オッサン言うなガキ」

「……」

「あん? なんだよ?」

「どーせガキだよ!」


 なんだなんだ。可愛い奴め。
 俺はサトシの頭をまたグシャグシャと撫でた。


「うわっ! また!」

「男前が……」

「あがんねぇーよ!」

「お前の髪フワフワなのな」

「……そ?」


 サトシはまた何かを懐かしむような顔をした。

 つーか、寝癖直すの大変そうだ。
 ……そういや、サトシの起き抜けって見たことねぇな。朝起きたらもう朝メシ作ってるか、朝メシできたっつって俺が起こしてもらうばっかで。
 なんか、……やっぱ嫁?


「なぁ、お前毎朝何時に起きてんの?」


 俺が起きんのは大体7時で、サトシは俺が起きるまでにその大変そうな寝癖を直して、朝メシ作って、俺の弁当まで作ってるんだから相当早いだろう。


「6時くらい、……かな」

「あ、いま嘘ついたろ」

「なんで!」

「お前、嘘つくの下手すぎ。すぐ分かるぜ」


 はい、それ嘘! ってすぐ言い当てる自信があるな。今みたいに顔見なくても、逆に顔見ただけでも分かる。


「……」


 なぁ、今またあの顔してんだろ? あの懐かしむような顔。
 なにを思ってる? なにがその目に映ってんだ? それを寂しいと感じる俺は、なんなんだ?


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