07




 そして昼時、お好み焼きやタコ焼き、焼きそばといったお店が盛況になり、1年C組が催すカフェからは少し客足が遠退いた頃のこと。1年C組の教室からガラスが割れる音が響いた。室内にいた人間と、校舎の外にいた人間は現場を見ていた。
 吉原高校のものでない制服を着た男子高生が、1年C組の生徒を窓の外に放り投げたのだ。投げられた生徒は窓ガラスを突き破って、2階の高さから地面に叩き付けられた。

 事の詳細はこうだ。他校の荒れた生徒が現れ、灰司を初めとする3人の女装姿をからかって行き過ぎた注文をした。それを見て腹を立てた1年C組の生徒が他校の男子高生に殴り掛かり、逆にやられたのである。


「あーららー。だせーじゃーん」


 殺伐とした空気の流れる緊迫した教室内で、灰司の間延びした声は妙に浮いていた。


「教室のガラス割ったらさー、割った奴が自腹きって直すって決まりなんだよねー」

「あ? だったら落ちてったあいつだろ?」

「ちっがーう。お前だよー? だってさー、前にイス投げて割った時、俺が払ったしー。お前の理屈じゃイスが払うことになるじゃーん。バカなの?」


 灰司の理屈だと2階の高さから落ちて悶絶している生徒は椅子と同じ扱いになってしまうのだが。


「テメーいらつくんだよ!!」


 灰司の髪に掴みかかるように右腕を伸ばしたその時だった。その腕は横から伸びてきた腕に、逆に掴まれた。


「俺の許可も得ずに、こいつの髪に触れる気か?」

「……せんせー」


- 7 -



[*前] | [次#]
[戻る]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -